昔といまを比べると、腎臓病の常識は大きく変わりました。たとえば、以前は「腎臓が弱い人は運動なんかしないで安静にしているほうがいい」「腎臓病になったら非常に厳しい食事制限に耐えなくてはならない」「腎臓病はいったん悪くしたらよくならない」といったことが当たり前とされていました。
しかし、これらはすべてウソ。いまは腎臓病の人も適度な運動をするほうがいいとされていますし、食事もちょっとした工夫で普通の人と変わらないものが食べられるようになっています。もちろん「腎臓病はよくならない」というのも誤りで、「腎臓リハビリ」というメソッドを実行すれば、着実に進行を抑えたり病状を回復させたりできるようになっているのです。
この「腎臓リハビリ」のメソッドの提唱者として、従来の腎臓治療の“誤った常識”を大きく変えてきたのが上月正博・東北大学名誉教授。上月教授は、新著『
腎臓大復活』の中で、腎機能を強化して人生をよみがえらせていくためのノウハウを惜しみなく紹介しています。
以下では、その上月教授が「腎臓寿命を延ばすための食事のひと工夫――糖質対策編」について解説します。
糖質はやみくもに「減らせばいい」わけではない
慢性腎臓病を進ませてしまう「二大原因」は高血圧と糖尿病です。そして、糖尿病を防いでいくには、当然、血糖値をコントロールする必要があり、普段の食生活で糖質の摂り方に気をつけていかなくてはなりません。
でも、だからといって、やみくもに糖質を減らせばいいというわけではないのです。腎機能を守っていくには、何をどう減らすかのポイントをつかみ、かしこく糖質とつき合っていかなくてはなりません。
「腎臓リハビリ」の食事療法では、患者さんができるだけストレスを感じずに効率よく血糖値をコントロールしていけるような糖質の摂り方を指導しています。今回は、そうした糖質対策の工夫を紹介していきましょう。
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