少子高齢化の中、私学は生徒集めに躍起になっている。レギュラーになれなかった生徒も学校側は学生数、学費を維持するためには退学、転校させるわけにはいかない。それなりの配慮をしなければならない。
このため多くの部員を擁する学校では、チームを1軍、2軍、3軍に分け、各レベルのリーグ戦などを実施している。監督のほかにも複数のコーチを配置して、ベンチを外れた選手の指導もそれなりに行っている。
本音で言えば「多すぎる部員数は迷惑だ」と思っている監督も少なくない。ある甲子園優勝監督は「わしが(面倒を)見れるのは、ワンバスまでや」といった。ワンバスとはバス1台に乗り切れる人数、つまり40人のことだ。
事実、智辯和歌山高校などは1学年十数人、3学年約40人の「定員」となっている(今年は38人)が、前述のように多くの学校は「生徒数、学費確保」のために多くの部員を入学させている側面がある。
寮生活中心の野球部の問題点
最近の監督は、インタビューで「一番大事なのは、ベンチ外で応援してくれた部員たちだ。彼らのサポートがあったからこそ、チームが強くなった」などのコメントをすることが多くなった。指導者たちも今のストレスの強い寮生活中心の野球部の体制に気配りをしてはいる。しかしそれにも限界がある。
今回の事案の詳細は公式発表されていないが、寮で禁止されているカップ麺を食べた1年生を2年生たちが難詰し、暴力沙汰になったと一部で報じられている。ストレス圧が高いために、些細な事件が大事になり、高校野球を揺るがす事態になったとも考えられる。
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