クマに襲われた人たちの"深刻な現状"――「命に別状はない」ではすまされない体と心に残る深い傷。"クマ外傷"治療にあたる救急医から学ぶこと

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クマ外傷を治療する救命救急医に話を聞きました(写真:Taco /PIXTA)

冬が近づいたというのに一向にやまないクマの人的被害。

よく「命には別状がなかった」などと報じられるが、実は「助かってよかった」ではすまされない“深刻な現状”がある。この問題から私たちが学ぶべきことは何か。

これまで30年以上にわたり100件以上のクマ外傷の治療にあたってきた救急医の中永士師明(なかえはじめ)さん(秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系救急・集中治療医学講座教授)に話を聞いた。

※本稿ではクマの被害に遭われた方の写真が出てきます。閲覧にはご注意ください。

新聞配達中にクマに襲われて

秋田大学医学部附属病院の高度救命救急センターで、クマによって負った傷、いわゆる「クマ外傷」の治療にあたっている中永さんは、負傷者がクマと遭遇したときの状況をこう話す。

「ある男性は、早朝、新聞配達のためにバイクから降りて、少し奥にある民家の玄関まで歩いていったところ、脇にあるヤブから突然クマが飛び出してきて、襲われたそうです。アッと思ったときにはもう遅かったといいます」

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