肉親から「人間でないものを産んだ」とまで言われ…重い障がい負う2児の"父"となった元牧師が憂う、優生思想や核家族化に追い詰められる親子たち
現在の日本において、障がいを持っていたり、医療的ケアが必要だったりする子どもを育てることは、家族の努力だけではどうにもならない局面が増えている。
第一に、核家族化が進み、身近に頼れる人がいない。そして何より、制度があっても「どこに何を求めればいいのか」がわかりにくく、必要な支援にたどり着けない家族も少なくない。さらに、障がいのある子どもに対して世間からの「受け入れられない」という視線がはびこり、親の孤立を深めていく……。
そうした現実の中でじわじわと追い詰められた親や、医療を受けさせることに同意するか否かの壁にぶつかった親のもとで行き場をなくした子どもたちを迎え入れる場所がある。障がい児や医療的ケア児をもつ家族の相談、特別・普通養子縁組のサポートなどを行う『小さな命の帰る家』だ。
代表の元奈良キリスト教会牧師・松原宏樹さん(57)は、「『親が悪い』と切り捨てるだけでは見えてこない社会の構造がある」と話す。その内幕を、「優生思想」という概念も交えながら解説してくれた。
「人間でないものを産んだ」祖父母のひと言が砕いた心
松原さんは『小さな命の帰る家』の活動を行いつつ、重い障がいがある、やまとくん、恵満(えま)ちゃんの2人と特別養子縁組を行い、彼らの“お父さん”として暮らしている。
やまとくんは、ダウン症候群と重い心臓疾患。恵満ちゃんは、ウエスト症候群という難病に加えて、染色体の7番、18番に異常がある。気管切開をして人工呼吸器を使用しており口からモノが食べられないので、直接栄養を胃に流し込む、胃ろうを造設している。
2人には健常児と比べ、育児に多くの困難が生じるため、親が精神的にも経済的にも負担を感じ、「この子がこの先も生きて幸せになれるのか」「私たちはきちんと育てることができるのか」と悩んだ結果、「医療同意拒否」するに至った。つまり、医療を必要とする状態にあるにもかかわらず、手術や治療に同意しなかったため、松原さんが家族として迎え入れたのだ。


















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