肉親から「人間でないものを産んだ」とまで言われ…重い障がい負う2児の"父"となった元牧師が憂う、優生思想や核家族化に追い詰められる親子たち
そう語る松原さんの口調は重い。実際の経験をふまえて、以下のように続ける。
「普段、重度の医療ケアを必要とする子に会う機会がある人はなかなかいません。当然、どのような人生を送ってるのかもわからない。そのうえ、ネットで検索すると、その大変さや負の一面ばかりが多く出てくる。そんななかで、『明日からダウン症の子どもとか、染色体異常の子どもを育てなさい』と言われても、親としては困惑や不安ばかりが募るわけです。
ゆえに、お腹のなかにいる際に子どもがダウン症などと判明した場合、実に9割もの方が堕胎を選んだり、優生思想によって、人間の尊厳を奪われたりする……。ネガティブな情報があふれているなか、親たちも正解がわからなくなっているんです。それに、私も実感していることではありますが、確かに大変なことも多いという真実も、これに拍車をかけます」
生活がガラッと変わり、頼る先もなく…
とりわけ医療ケア児の場合、育てるとなると生活そのものが一変する。
「私もそうですが、子どもにかかりきりになりますので、共働きは絶対できません。となると、どちらかが仕事を辞めなければならない。精神的にも経済的にも逼迫し、やがてすべての夢や目標が崩れ、『私たちの人生、何だったんだ』って思うようになってしまうこともありえる。これは悲しいですが当然のことであり、そういう社会になってしまっていることが問題なんです」
さらに、「頼る先がない」という切実さもある。
「肉親を含め周囲の協力を得にくい場合も多いですし、今の日本には、相談や助けを求めに行く場所がほとんどなく、それを下支えする制度も不完全です。『小さな命の帰る家』には、見た目的にも何らかの障がいがあるのがわかり、さらには珍しい染色体異常などで、どのように育つか情報がほとんどないお子さんに関する相談が本当に多くきます。
『真剣に向き合いましたが、やっぱり障がいを受け入れられません』と悩み疲れ果てた方もいらっしゃれば、『この子を育てる自信がありません』と悲観的な方もいらっしゃいます」
その結果、うつなどの精神疾患を患い、起き上がれなくなるほど精神が削られている母親も大勢、見てきたという。


















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