2月、財務省から2025年通年の国際収支統計が公表されている。足元では円高に振れているが、結局のところ、ハードデータに支持されない流れは持続可能ではないため、円需給の現在地を押さえておく必要がある。
後述するように、需給構造の歪みが円安を牽引するという近年の傾向はある程度、終息に向かっていると言えそうである。
既報の通り、経常収支は31兆8799億円と2年連続で過去最大の黒字を更新している。内訳は貿易収支が8487億円の赤字(前年実績は3兆6602億円の赤字、以下明記しない限りカッコ内は前年実績)、サービス収支が3兆3928億円の赤字(2兆7765億円の赤字)、第1次所得収支が41兆5903億円の黒字(39兆7201億円の黒字)、第2次所得収支が5兆4688億円の赤字(4兆5965億円の赤字)であった。
総じて貿易収支赤字の改善と第1次所得収支黒字の拡大が前年比での経常黒字押し上げに寄与した構図である。

なお、貿易収支赤字(国際収支ベース)は19年以前の10年平均が約3.5兆円の赤字であるため、ようやく戦争やパンデミックを受けた異常な需給構造の歪みが顕著に修正されたのが25年であったと言えるが、にもかかわらず円安は修正されなかったことをやはり真摯に考えるべきだろう。
投資で稼いで戻ってこない
見た目のうえでは「貿易ではなく投資で稼ぐ」という「成熟した債権国」の姿が一段と鮮明化しているわけだが、かつての大英帝国のように、対外資産からの受け取りが国内に還元されているわけではないため、その歴史的栄光と比較するわけにもいかない。
強いて言えば、サービス収支のうち旅行収支黒字が2年連続で6兆円の大台に乗せており(黒字額としても過去最大を更新)、能動的に稼げる外貨経路として機能しているものの、後述するデジタル赤字が約6.7兆円まで膨らんでいることで帳消しされている。この構図が近い将来に大きく変わるということは考えにくいだろう。
総じて、「果たして日本に実体経済はあるのか」という問題提起をはらんだ国際収支構造の問題は依然変わっていない。
ちなみに全体では大きな金額ではないものの、第2次所得収支における「個人による海外送金」を見ると、日本に住む外国人による海外の郷里への送金が増えており、支払いが初の1兆円に達している。

日本在住の外国人労働者が増える傾向にある中、この項目が将来的に大きな円売りの源泉となる可能性には一定の注意を払っておいたほうがよいだろう。



















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