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最大45兆円「デジタル赤字」は製造業も飲み込む…経産省若手レポートが突きつける「聖域なきデジタル市場」の脅威、日本はどう生き残る?

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クルマもソフトウェアがカギとなる時代に(写真:Bloomberg)
*2025年5月30日6:00まで無料の会員登録で全文をお読みいただけます。それ以降は有料会員限定となります。

4月30日、経済産業省大臣官房「若手新政策プロジェクト PIVOT」から「デジタル経済レポート~データに飲み込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略~」と題した報告書が公表された。筆者も校閲者としてドラフト段階から参加しているレポートであり、問題意識を共有したい。

全106ページの報告書は、現在を「聖域なきデジタル市場」時代と定義したうえで「サービスの付加価値を規定するソフトウェアが売れないとハードウェアも売れない」という核心に言及するところから始まる。

要するに、「モノ(ハード)を売る前提としてサービス(ソフト)が必要」という考え方である。そのうえで価値あるソフトウェアを生み出すためにはデータが必要であるため、「データにすべてが飲み込まれる世界」こそ「聖域なきデジタル市場」時代が直面する現実だと説いている。

デジタルで負ければ「モノ」も売れなくなる

報告書では、データを握られることで外資系企業にソフトウェアを制圧されれば、「モノ」に組み込まれた状態で輸入され、サービス収支のみならず、貿易収支赤字が拡大することへの懸念も示されている。

卑近な例で言えば、日本においてテスラやBYDが多く販売され、日本の自動車の販売数量が抑制されるような展開である。「聖域なきデジタル市場」では日本経済の屋台骨である自動車産業も大きなダメージを被る展開が想定される。日本経済の外貨獲得能力が低下しかねない。

巷説に見られがちな「デジタル赤字自体が悪いわけではなく、それを生かして他の分野で高付加価値な財・サービスを創出すべき」といった敗北主義的な楽観論にとどまっていないのがこの報告書のよい部分だろう。

報告書は、現状認識と国際比較を踏まえ、相対的に遅れている(≒相対的にデジタル赤字が大きい)日本はどのような国の先例に倣えばよいのか、処方箋にも踏みこんでいる。

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