舞い戻ってきた「円安」はどこまで長持ちするのか 短期・中期・長期で分けるべき円相場の未来予想図

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アメリカの強い雇用統計で利下げ織り込みが後退し、円安が進行。再び1ドル150円台をうかがう勢いだが、重要なのは「時間軸」の観点だ。

日米金利差は一気に縮小、とはいかない(写真:Bloomberg)

ドル/円相場は1ドル=148円近傍での推移が続いている。

IMM通貨先物取引に象徴されるように、依然として投機筋の持ち高が円ロング(円買い)に傾斜しているとすれば、当分、円相場はその巻き戻しによって軟調を強いられても不思議ではない。そうした投機の持ち高が中立化された時点で150円を突破している可能性は否めないだろう。

とはいえ、問題は投機が去った後の方向感だ。

「強いアメリカの雇用統計」の再現性

2022~2023年は金利差を意識した投機的な円売り、機関・個人双方の投資家による円売り、そして巨額の貿易赤字と多くの要因が円安を支持していた。だからこそ、あれほどの規模と持続力を伴った円安局面が醸成されたのである。

需給面で振り返れば、筆者試算のキャッシュフロー(CF)ベース経常収支で2022年は約9.7兆円、2023年は約1.3兆円の赤字だった(ちなみに統計上はそれぞれ約11.4兆円、約21.4兆円の黒字)。

金利面では、この間、日銀の金融政策はマイナス金利が堅持され、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のそれは過去最速ペースで利上げされてきた。円安は必然だった。

足元の円安相場にはそれほどの迫力と持続性を感じない。

確かに、10月4日に公表されたアメリカの9月雇用統計やそれに伴う円安・ドル高の動きは凄まじいものであったが、再現性に乏しいと言わざるを得ない。10月や11月の雇用統計でもポジティブサプライズが続けば、いよいよ利下げ局面の早期終了が争点化するかもしれないが、それを理由に円安局面の再始動を想定するには早過ぎるだろう。

関連記事
トピックボードAD