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これを円高と呼んでいいのか、2024年ドル円展望 【後編】需給の方向感が薄れ円安圧力は弱まる

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前編では金利の観点から、アメリカの利下げと日本のマイナス金利解除で「円高は不可避」と見通した。では水準はどうか。後編は需給の観点から、経常収支の「キャッシュフロー」(実際の円買い)を試算し論じる。

新1万円札
2024年7月3日にお目見えする新1万円札、その頃は1ドル何円?(写真:時事通信)

前編の「金利」編で議論したようなドル/円相場見通しは、おそらく識者の間で大きな齟齬がないと思われる。しかし、過去2年で大幅に減価してしまった円の価値が復元されるかどうかは需給環境の考察を要する。

そもそも日米金利差が開いていること、日銀がマイナス金利を採用していることは今に始まったことではない。2022年3月以降、最大で30%も対ドルで円が下落したことの原因すべてを金利に求めるのは無理がある。

経常黒字大国=「円買い」ではない

今回の「需給編」にまつわる議論は、2022年来、本コラムで繰り返し議論させていただいてきた。日本は統計上でこそ世界有数の経常黒字大国(2022年で世界8位)だが、その内実である第1次所得収支黒字については、キャッシュフロー(CF)ベースで見ればほとんど円買いが発生していない。

次ページ「統計上の黒字」と「実務上の赤字」
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