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2024年「円高が来る」、それは「どの程度の円高か」 【前編】FRBが急かす日銀「マイナス金利解除」

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年の瀬に為替の動きも慌ただしい。2024年こそアメリカの利下げが来て、日銀はマイナス金利を解除、だから金利差縮小で円高――というのが大勢の見方だが果たして。「金利の未来」と「需給の底流」から読み解く。

日米の中央銀行総裁の発言を受け、年の瀬のマーケットは上下した(写真:Bloomberg)

時節柄、2024年の為替展望について問い合わせが増えている。筆者は「2023年は円高の年という見方には賛同できない」という主張を重ねてきた。年初から多くの識者が円高見通しに傾斜する中、不安もあったが、幸い2023年に関しては一連の議論が報われたように感じている。

2024年についても、従前通り「金利に限らず需給の変化も見るべき」という基本姿勢で議論を続けていきたいと考えている。

とはいえ、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の政策転換時期が注目される今、金利の持つ説明力は2022年や2023年よりも大きなものにはなるだろうから、無視もできまい。2024年見通しの概観に関し、金利・需給の2大要因に照らして筆者なりの現時点の相場観を整理しておきたいと思う。

円高は不可避だが、深刻ではない

結論から言えば、「需給で円安」という論点はいったん小康状態に入る可能性はある。

過去2年以上にわたる筆者の円安予想は需給環境の歪みを見ながら展開してきたものであるため、その改善が視野に入れば、ある程度の円高地合いは期待できるはずだ。しかも、金利の観点に照らしても、日米金利差縮小が円高地合いの一助になることも考えられる。

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