セブン&アイが新中計を発表、「国内コンビニ1000出店」より注目すべき“デイカス社長の発言”・・・ 北米子会社の本部にはHDの社長室を設置か?

新体制となって、初の中期戦略はどう受け止められたのか――。
セブン&アイ・ホールディングスは8月6日、都内で記者会見を開き、スティーブン・ヘイズ・デイカス社長が中期経営計画を公表した。
同社をめぐっては、カナダのコンビニ大手、アリマンタシォン・クシュタールが7月中旬に買収提案を撤回すると発表したばかり。クシュタールの提案は2025年1月時点で、1株2600円での完全子会社化だった。買収期待から2200円前後まで高まっていた株価は破談によって急落。以降、2000円を割る水準で推移していた。
今後、セブン&アイ経営陣に求められるのは、独立路線でもクシュタールの提案や、それに匹敵する株価を実現できると示すことだ。
今回の中計はデイカス氏が社長に就任した5月以降、初めてとなる経営戦略発表会。注目が集まる中、会見が始まると、各メディアは一斉に「セブン&アイ、国内コンビニ1000店舗増へ」「既存店5000店以上に新設備導入」と報じた。
中計発表後、株価はじわり上昇
このセブン-イレブン・ジャパンの出店方針以外にも、会見では2030年度までの財務目標が多く示された。北米のセブン-イレブン・インク(SEI)では品ぞろえを拡充した大型フォーマットの店舗数を1300店舗増やす。日米ともに、出来立て商品の販売強化のための設備投資も進める。
今期連結から分離するイトーヨーカ堂など、非コンビニ事業の業績を除いた前2024年度の売上高は約10兆円、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は約9000億円だった。これを以上のような施策の実行で2030年度には、それぞれ11.3兆円、1兆3000億円にまで引き上げる。
今回の中計を市場は好感した。6日の発表当日は小幅な値上がりだったが、翌7日も上昇基調が続いた。同日には一時2085円をつけており、クシュタール提案の破談が明らかになった7月17日以降で最高値となった。
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