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初めての外国人新社長。その手腕はいかに――。3月6日、セブン&アイ・ホールディングスは東京都千代田区の本社会議室で記者会見を開き、井阪隆一社長の退任を発表した。
後任は2022年5月から社外取締役を務めるスティーブン・ヘイズ・デイカス氏。5月に予定されている定時株主総会での承認を経て、正式に社長CEOに就任する。
会見の中盤、デイカス氏は日本語でのプレゼンを披露した。自己紹介の中では自身の父が(アメリカで)セブン-イレブンを営むフランチャイズオーナーであることを明かし、「10代の頃、友人らが遊んでいる間、金曜と土曜の深夜シフトで働いていた。とても嫌だった」と会場の笑いを誘った。
デイカス氏は現在64歳。「まさか50年近く経って、父の小さな店の親会社を経営することになるとはまったく思っていなかった」と続けた。
中核の北米子会社を上場
この日は社長人事以外にも重要な決定がいくつも公表された。まずは事業構造改革の進捗についてだ。
複数の投資ファンドによる入札が進められていたスーパー事業は、9月までにアメリカのベインキャピタルに8147億円で譲渡する。その後、セブン&アイが35%、スーパー事業の中核であるイトーヨーカ堂の創業家である伊藤家、東北地盤のヨークベニマルの創業家である大高家が約5%を再出資する計画だ。
公表から半年ほど「最適な資本関係の在り方の検討」を続けていたセブン銀行については、2025年度中に持ち分を現在の46%超から4割未満に引き下げ、連結子会社から分離する方針を示した。
次に北米子会社の上場だ。北米コンビニ事業を担うセブン-イレブン・インク(SEI)を2026年下半期までにアメリカでIPO(新規株式公開)させる。関係者によると、SEIの企業価値は4兆~5兆円と算出できるという。

SEIは同国のコンビニ市場で8.5%の市場シェアを持つトップチェーンだ。足元で苦戦を強いられてはいるが、グループ最大の収益源であり、上場後も過半数の株式はセブン&アイが保有する。
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