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〈近づく株主の審判〉セブン&アイ「デイカス次期社長」が語ったコンビニ事業の戦略はいま一つ、5月下旬の株主総会前に成長戦略を説明か

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オンラインの決算会見に出席したデイカス次期社長。成長戦略の中身に注目が集まっていたが、目新しさはなかった。写真は3月上旬の記者会見時のもの(撮影:尾形文繁)

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「端的に言って、極めて自信であふれている」――。

カナダ競合、アリマンタシォン・クシュタールからの買収提案に揺れる、セブン&アイ・ホールディングス(HD)は4月9日、2025年2月期の通期決算を発表した。同日開催されたオンライン会見には、5月に新社長に就任予定のスティーブン・ヘイズ・デイカス筆頭社外取締役が決算説明に立った。

本業の儲けを示す営業利益は4209億円。2024年10月に当初計画よりも1420億円減額した修正計画はクリアしたものの、過去最高の営業利益を更新した前期実績(5342億円)からは2割以上の減益で着地した。

苦戦が続いた日米のコンビニ

会社の根幹である北米コンビニ事業は、急速なインフレの進行が主要顧客である中低所得者層に打撃となり、客数が減少。既存店売上高は前期比で2.7%のマイナスだった。同地域を担うアメリカ子会社、セブン-イレブン・インク(SEI)の営業利益は3296億円と、前期比で17%減となった。

利益面の貢献が大きい日本事業も節約志向を強める消費者ニーズへの変化対応が遅れた。既存店売上高は前期比でプラス0.2%と伸び悩んだ一方、光熱費や物流費などのコスト上昇を飲み込めず、セブン-イレブン・ジャパンの営業利益は2337億円と、前期比7%減の結果となった。

現在、セブン&アイはクシュタールの買収提案を受け入れるか、スタンドアローン(独立路線)を維持するかの2択を迫られている。

セブン&アイはかねて、アメリカでコンビニ業界2位のクシュタールによる同首位セブン‐イレブンの買収実現には独占禁止法上の課題があり、アメリカの競争当局である連邦取引委員会の審査をクリアするのが困難だと指摘している。

買収提案に関して、セブン&アイの取締役会に答申する特別委員会の委員長を3月まで務めていたデイカス氏も、クシュタールの傘下入りには後ろ向きとの見方が強い。

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