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〈インタビュー〉MUFG亀澤社長が直言「リテール反撃」の勝算、「部品がすべてそろった」「オリーブとはまったくアプローチが違う」

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MUFG亀澤社長
亀澤宏規(かめざわ・ひろのり)/三菱UFJフィナンシャル・グループ社長。1961年生まれ。1986年東京大学大学院理学系研究科修了、三菱銀行(当時)入行。融資企画部長、市場企画部長、米州本部副本部長、三菱UFJフィナンシャル・グループのデジタル推進最高責任者などを経て、2020年4月から現職(撮影:尾形文繁)
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が個人向けのリテールビジネスで反撃に打って出た。6月からグループのリテール金融サービスを「エムット」と命名。施策の第1弾として、銀行アプリを刷新してグループ各社の個人向け金融サービスに遷移できる機能を実装したほか、クレジットカードのポイント還元率を業界最高水準の最大20%に引き上げた。
2026年度にはデジタルバンクを開業するほか、グループ共通の「エムットポイント」やロイヤルティープログラム、新たなデジタル相続プラットフォームもリリースし、エムットを完成させる。
もっとも現状において、MUFGのリテールビジネスには課題も散見される。2024年度の国内個人預金の伸び率は0.96%と全国平均1.35%を下回り、クレジットカードの取扱高では三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)に大きく後れを取っている。リクルートと合弁で手がける「COIN+」などの新サービスも今のところスケールしているとは言いがたい。
始動したエムットによってMUFGのリテールビジネスは飛躍を遂げることができるのか。亀澤宏規社長に「勝算」を聞いた。

――6月からMUFGのリテール金融サービスを「エムット」と名づけて、個人向けビジネスの強化を打ち出しました。なぜこのタイミングだったのですか。

エムットはグループにあるさまざまなサービスや機能をつないで、シームレスに使っていただくサービスだ。

これまでリテールビジネスの強化策として、ウェルスナビや旧auカブコム証券(現三菱UFJ eスマート証券)を完全子会社化するなど、いろいろな施策に取り組んできた。いわば「部品」をすべてそろえる必要があったので、今回のタイミングとなった。

クレジットカード会社の三菱UFJニコスにおいてシステム統合のメドが見えたことも、このタイミングになった理由の1つだ。

ネット銀行の成長に危機感

――「金利ある世界」が到来し、預金獲得の伸びが鈍っていることも今回の戦略の背景にあるのでしょうか。

われわれはグループの中で銀行が圧倒的に強く、預金量や口座数を見ても他行比で圧倒している。だが、新規口座についてはネット銀行に取られてしまっており、この点については危機感を抱いていた。

金利ある世界に突入したことで預金の獲得競争が起きているが、そうした中でも現在の地位をしっかりとキープする必要がある。こうした点もエムットを始動した理由の1つだ。

MUFGには金融のコア機能がすべてそろっている。給与振込口座や住宅ローン、クレジットカード、NISA口座、相続サービスなどをすべてつなげる一方、ロイヤルティープログラムやグループ共通の「エムットポイント」も設けて、MUFGの各種サービスを使っていただくと最も大きなメリットが受けられる仕組みにしていく。

――SMFGも2023年3月から個人向けの総合金融サービス「オリーブ」を展開しています。オリーブと比較して優位性はありますか。

エムットとオリーブはよく比較されるが、オリーブはある種クレジットカード戦略だ。一方、われわれはリテールビジネス全体をエムットと呼んでいる。

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