
――6月からMUFGのリテール金融サービスを「エムット」と名づけて、個人向けビジネスの強化を打ち出しました。なぜこのタイミングだったのですか。
エムットはグループにあるさまざまなサービスや機能をつないで、シームレスに使っていただくサービスだ。
これまでリテールビジネスの強化策として、ウェルスナビや旧auカブコム証券(現三菱UFJ eスマート証券)を完全子会社化するなど、いろいろな施策に取り組んできた。いわば「部品」をすべてそろえる必要があったので、今回のタイミングとなった。
クレジットカード会社の三菱UFJニコスにおいてシステム統合のメドが見えたことも、このタイミングになった理由の1つだ。
ネット銀行の成長に危機感
――「金利ある世界」が到来し、預金獲得の伸びが鈍っていることも今回の戦略の背景にあるのでしょうか。
われわれはグループの中で銀行が圧倒的に強く、預金量や口座数を見ても他行比で圧倒している。だが、新規口座についてはネット銀行に取られてしまっており、この点については危機感を抱いていた。
金利ある世界に突入したことで預金の獲得競争が起きているが、そうした中でも現在の地位をしっかりとキープする必要がある。こうした点もエムットを始動した理由の1つだ。
MUFGには金融のコア機能がすべてそろっている。給与振込口座や住宅ローン、クレジットカード、NISA口座、相続サービスなどをすべてつなげる一方、ロイヤルティープログラムやグループ共通の「エムットポイント」も設けて、MUFGの各種サービスを使っていただくと最も大きなメリットが受けられる仕組みにしていく。
――SMFGも2023年3月から個人向けの総合金融サービス「オリーブ」を展開しています。オリーブと比較して優位性はありますか。
エムットとオリーブはよく比較されるが、オリーブはある種クレジットカード戦略だ。一方、われわれはリテールビジネス全体をエムットと呼んでいる。
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