――ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが2019年、三井物産など5大商社の株の保有を始めてから6年。今年9月にはバークシャーが保有割合を10%超に引き上げました。この間、海外投資家などの反応は変わりましたか。
変わってきたと思う。IR(インベスター・リレーションズ)には手ごたえを感じ始めている。海外でも「総合商社って何?」と聞かれることはなくなった。バークシャーが当社株を取得してから、新たに、あるいは久しぶりに三井物産と会ってみようと声をかけてくれる投資家も少なくない。中国景気の停滞で投資先として日本に目が向く中、業績も堅調、魅力ある成長投資と時価総額の上昇もあって、高い関心を維持してもらっているとの印象がある。
――ただ、市場からは依然として「商社の事業内容はわかりにくい」とみられがちです。どのような対話を心掛けていますか。
投資家やアナリストとの面談は会社数で言えば25年3月期で年間延べ700件ほどになる。統合報告書では過去20年のポートフォリオの変化と業績をチャートで示し、当社の全体像を端的に示した図、強みを示す事例なども盛り込んだ。
「コングロマリットの三井物産」に関心
当社のビジネスの舞台はグローバルで、社会課題に対する産業横断的な現実解の提供を掲げている。例えば低炭素アンモニアを製造して、 肥料や産業用に出荷する。石炭に代わる発電燃料に使えばCO2の排出を減らせる。船舶燃料にもなる。セグメントをまたいでどんどんビジネスが広がっていく。こうした事例も挙げながら、丁寧な事業説明を心掛けている。
投資家との最近のやり取りでは、直接何かを売却してコングロマリットディスカウントを解消せよという話にはならず、むしろコングロマリットである三井物産にどんな面白みがあるのか探ってみようというアプローチになっている。
それでも、当社を含む総合商社のPER(株価収益率)は依然割安だ。日経平均より低く、テック企業の足元にも及ばない。商品市況の振幅によるボラティリティが高いと思われている。ただ、分析して解消すべきものはしていくが、開き直ることがあってもいいと思う。



















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