有料会員限定

〈インタビュー〉三井物産社長が明かす利益「100億ドル」の野望、「過去最大の投資」の狙いと時価総額向上の施策

✎ 1〜 ✎ 4 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
就任から5年目に入り、「経営に手応えを感じる」と語る堀健一社長(撮影:梅谷秀司)

特集「商社大異変」の他の記事を読む

総合商社3強の一角を占める三井物産。巨大な鉄鉱石権益の獲得や新規鉱区開発など資源投資にアクセルを踏む一方、資産のバランスにも目配りを欠かさないという。「バランス経営」の核心を堀健一社長に聞いた。

――今期の純利益は前期比14%減の7700億円を見込んでいます。堀社長は「1兆円を優に超える利益水準を継続的に生み出す」とも発言していますが、その道筋を教えてください。

2024年度までの4年間で当社の平均純利益は1兆円を超える。30年には1兆円を優に超える利益水準を達成するように経営の舵取りをしていきたい。国際基軸通貨のドルで考えると、少し先になるかもしれないが、基礎営業キャッシュフローで100億ドル(約1.5兆円)の水準を目指していきたいと思っている。

25年度に終わる中期経営計画の期間中に2.3兆円ほどの成長投資を行ってきた。この成長投資による利益貢献、それから既存事業を強化する組み合わせで基礎収益を1700億円底上げしようという計画があって、これは順調にきている。

オーストラリアのローズリッジ鉄鉱石事業、アメリカのブルーアンモニア(低炭素アンモニア)、UAE(アラブ首長国連邦)のルワイスLNG(液化天然ガス)プラントが立ち上げられる。これらの大型プロジェクトの収益が出てくる。

鉄鉱石権益は相対取引で獲得

一方、ヘルスケア事業では、アジアで病院チェーンを展開するIHHヘルスケア(マレーシア)の買収による成長が奏功している。ベッド数と比例して利益が伸びていくが、IHHはベッド数以上に利益が伸びている。ベストプラクティスを提供し、力強い利益成長率を今後も示してくれるだろう。

こうした組み合わせで(資源価格下落などの)下方耐性を強化したバランスの取れたポートフォリオを構築し、1兆円を優に超える利益水準を目指していきたい。

――25年2月に過去最大の約8000億円を投じてローズリッジの鉄鉱石権益を取得すると発表しました。その意義を改めて聞かせてください。

(ローズリッジが)オーストラリアの鉄鉱石鉱床の中で、もう出てこない「クラウンジュエル」(希少性の高い優良資産)だということは、それこそわたしが経営企画部長の時代(13年~16年)から知っていた。20年にわたって売り手グループに働きかけて、相対取引で合意に至っている。

オーストラリアのピルバラ地区はすでに当社が参入している地域なので、鉄道や港湾のインフラをそのまま利用できる案件だ。追加のインフラ開発投資が少なくて済むので、競争力がある。また鉄分含有量が多く、品位が高い。開発を主導するオペレーターのリオティントと非常に深い戦略的提携をしていることもある。

投資金額としては大きいが、収益性は高く、リスクも自分たちで十分マネジメントできる非常に有望な案件だと判断した。取締役会も3回ほど開いて案件を精査し、じっくり議論をした。

次ページ資源ビジネスにも予見性がある
関連記事
トピックボードAD