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豊田通商「アフリカ通」の新社長が明かす大胆投資戦略。「アフリカには経済成長直前の大市場が広がっている」

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自らを「中身はアフリカ人」と語る今井斗志光社長(撮影・梅谷秀司)

「苦手科目はあっても、得意科目にはめっぽう強い異能の総合商社」

2025年4月に豊田通商の社長に就任した今井斗志光氏は、自社をこう評価する。

2025年3月期は純利益3625億円、時価総額は4兆6841億円(2025年10月9日時点)で業界6位。時価総額では5位の住友商事の5兆4623億円を射程に捉えている。

ただ、その収益構造は上位5社とは大きく異なる。祖業はトヨタ車の販売金融で、トヨタグループ傘下にある。25年3月期は全社売上高の18.6%にあたる1兆9162億円がトヨタ自動車向けのものだった。

一方で資源権益はほぼ持たず、「リチウム以外に(資源を獲得するため)地球は掘らない」(今井社長)との姿勢を示す。

得意科目のアフリカで成長

豊田通商が目下、強化するのが「得意科目」のアフリカ事業だ。大手商社では唯一地域別事業本部を設けており、自動車販売を軸に、再生可能エネルギーや医薬品販売をアフリカで行っている。自動車の販売台数では現地企業やほかの外資企業を含め、アフリカでトップシェアを持つ。全社純利益に占めるアフリカ事業の割合は22%と、最大の事業部門になっている。

そのアフリカ事業を牽引してきたのが今井社長だ。1988年入社以降、ほぼ一貫してアフリカ畑を歩んだ、商社業界きっての「アフリカ通」だ。

「私は中身がもはやアフリカ人。アフリカ人とはすごく肌が合う。会った瞬間9割くらいは思わずハグをしている」と今井社長は顔をほころばせる。

入社3年目の1991年にはマダガスカルの事務所長を命じられ、唯一の日本人スタッフとして事務所長を務めた。現地従業員と車の販売や病院経営、バニラの輸出などに汗を流していた。

ところが、赴任して間もなく政変が勃発したことで国外退去を余儀なくされる。「2年間を費やして契約寸前だった大きな案件が、契約できず、深い挫折を味わった」(今井社長)と振り返る。

「入社当時は傍流中の傍流だった」(同)というアフリカ本部だが、今や豊田通商の屋台骨を支える中核事業だ。

契機となったのが、フランスの大手商社で西アフリカの自動車販売などを手がけるセーファーオーの買収だ(2012年)。当時ユーロネクスト・パリに上場していた同社に対して、2345億円を投じてTOBを実施した。この買収に今井社長はプロジェクトリーダーとして携わった。

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