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カリスマ経営者、伊藤忠・岡藤会長が「商社の順位」にこだわる理由、セブンとのこれから、総合商社の未来を語り尽くす

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15年間、伊藤忠商事のトップに君臨する岡藤会長は総合商社の未来をどう見通しているのか(撮影:今井康一)

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15年にわたって伊藤忠商事の舵取りを担ってきた岡藤正広会長。カリスマ経営者は、それぞれの個性が際立ってきた総合商社の未来をどう展望しているのか。

――2025年度は「新・商社3冠」(純利益、時価総額、自己資本利益率で総合商社トップ)を目標に掲げています。「世界の中で戦う総合商社の順位には意味がない」という声もありますが、あえて商社内での順位にこだわるのはなぜですか。

総合商社の位置づけをもっと押し上げたいからだ。総合商社は大きな利益を稼ぎ、学生の就職人気もある。なのに、時価総額などは相対的に低く、世間の評価はそれほど高くない。総合商社の魅力をもっとアピールしていきたいと思っている。

総合商社にはそれぞれ個性がある。車が好きな人がみんなトヨタ自動車に入社するわけではないし、電機をやりたい人は日立製作所にも、ソニーにも行く。そういう中で、僕が社長になったとき、「伊藤忠らしさ」を打ち出そう、差別化していこうと決めた。財閥系は資源をやっているけれど、伊藤忠は身近なものを打ち出していこうと。

われわれは生活消費関連が強いので、それを前面に打ち出した。「これも伊藤忠、あれも伊藤忠か」と、今まで遠い存在だった総合商社をみなさんに身近に感じてもらって、認知度を高めていくようにしようと考えた。

そのためには、注目されないといけない。何もけんかするわけではないけれど、競争すると世の中が関心を持つ。万年4位だった伊藤忠商事が、3位になったり2位、1位になったりすると面白い。「巨人・大鵬・卵焼き」じゃないけれど、ずっと強かったら面白くない。常に順位の上下がないといけない。そういうことを常に考えながら発信している。

古い資源資産を守るだけでは…

――財閥系商社が資源投資を強めており、商社内でもポートフォリオが大きく分かれてきました。

ここにきて、それぞれの商社は完全に色を変えてきている。財閥系は確かに資源に戻ってきた。もちろん資源は日本にとって非常に重要。市況によって損もすれば儲かりもするビジネスでもある。

ただこれは過去のビジネスモデルで新しいものがない。お金持ちの2代目がお父さんから不動産をもらって家賃収入で暮らしていて、ちょっと隣に新しい店を出してみた。でも、うまくいかずにすぐまた元に戻すとか、そういうことではダメだ。

世の中はAIとか、そういう方向にきてるでしょ。もっと目新しいわくわくするところに行かないと。だから総合商社の株価はこのところちょっと停滞している。

うちの資源部隊も大きな収益を上げている(編集部注:24年度の金属カンパニー純利益は全社純利益の2割超の1784億円)。ただ、今のままではダメで、常に資源から派生するようなことをもっとやっていくべきだと言っている。儲かったからいいということではなく、そこで働いている社員がわくわくするような仕事をしなければいけない。

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