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高市首相は「1月解散」を打てるのか。麻生政権が追い込まれた2009年「政権選択解散」から読み解く

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自民党は2009年の総選挙で歴史的大敗を喫し、民主党に政権を明け渡すことになった。2009年8月30日自民党開票センターでメディア対応する党幹部。(撮影:梅谷秀司)
高市内閣の発足から1カ月。高い支持率が続き、永田町では高市首相が衆議院の早期解散に打って出る可能性もささやかれる。首相の権力の源泉ともいわれる解散にいつ踏み切るのか、歴代の首相は絶えず思いを巡らせてきた。2009年の衆議院選挙では、当時の麻生太郎首相が就任早々の解散に踏み切れず、リーマンショック以降の経済失政を追及された末に民主党の大勝を許してしまう。09年の解散・総選挙から高市政権の「今」を、当時自民党の選挙対策の事務方トップだった久米晃氏が読み解く。

――高市内閣の支持率はマスコミ各社の調査で70%前後を保っています。首相が解散に踏み切る可能性はあるでしょうか?

2025年の政局はどう動くのか――。選挙の神様、久米晃氏が自民党政権の命運をその裏面史から読み解いていく

いわゆるご祝儀相場で解散した内閣はない。石破茂氏は首相就任直後に解散したが、そもそもご祝儀相場と言えるほどの支持率がなかった。発足時に支持率が80%を超えていた小泉純一郎首相すら、ご祝儀相場をもって解散はやっていない。高市内閣の支持率は確かに高いが、これは支持というよりも、何かやってくれるだろうという将来への期待感だ。

実際に選挙をやったらどうなるのか。先日行われた葛飾区議選挙(11月9日投票)では、自民党は17人候補者を出して10人しか当選していない。既成政党で議席を減らしたのは自民党だけ。しかも、トップ当選したのは参政党の候補だった。高市内閣の支持率が高くても、それが自民党の支持率上昇につながっていないということだ。

「総裁任期ぎりぎりまで解散はない」

高市内閣は若年層の支持率が高いが、中高年層の支持率には大きな変化が見られない。若年層からの支持が高いという現象は安倍内閣のときにも見られたが、安倍首相は若年層に受け入れられるだけの発信力、アピール力があった。その後の菅、岸田、石破の3首相はそこが弱く、支持率が低迷した。

高市首相は「第3次安倍政権」とも言われるような、安倍首相を真似た政権運営をしているが、岩盤保守が戻ってきたというより、若い人たちの期待感に沿う雰囲気を出せているにすぎないと見るべきだ。

――新たな連立相手の日本維新の会は議員定数の削減を強く求めています。

維新が大上段に拳を振り上げて削減を求めているが、どこにどう落とすかということではないか。そもそも維新の12項目の政策協議要望の中では、定数削減の件は最後に盛り込まれたものだったはずだ。ところが、途中からこれが大前提だと言わんばかりになった。

大阪の地方議会では、議員の定数削減で「やってる感」を出してきたようだが、これを国政でもやるというのだろうか。身を切る改革というが、高校授業料の無償化でとんでもない額の税金を浪費するのに、50人国会議員を減らしたところでいくらお金が浮くというのか。

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