
――周知のとおり、今回の参議院選挙では参政党や国民民主党が躍進した一方で、自公は石破茂総裁が「必達目標」とした50議席には届かないという結果になりました。自民党内では石破総裁に対する退陣要求が噴き出しています。
自民党は参院選で比例票を550万票近く減らしたが、それが参政党や国民民主党へと流れたのだろう。わたしの周辺にいる「政治の常識」を持ったような人でも、これまで自民党候補に入れていたが、今回は参政党という人がたくさんいた。自民党が自民支持層を固められないときは勝てないというセオリーどおりだ。
これまで有権者は自民党にお灸を据えるといっても、過半数割れ寸前のところで踏みとどまる投票行動をすることが多かった。しかし今回はブレーキが利かなかった。
石破執行部は昨年の衆議院選挙の総括をしていない。自民党を中心とする政権運営の何がいけなかったのか、総括もしないまま参院選に突っ込んだことで、自民党支持者、ひいては一般の有権者の反発を招いたのではないか。
今回の結果には、自分の将来に不安を抱き、社会のさまざまなことに不満を募らせている若者の一揆という側面もある。その受け皿となったのが、新興政党である参政党であり国民民主党だった。参院選の直前に日本維新の会から梅村みずほ氏が参政党に移り、政党要件を獲得したことも大きい。これによりテレビ各局の討論番組に出演できるようになり、SNSとの両輪で政策の浸透につながった。
一方、与党は安倍政権後の歴代政権で、将来に向けた明るいビジョンの提示ができていない。選挙とは、これから何かやってくれそうだということへの投資のようなもの。票が入らないということは、いまの自民党は投資に値しないと見限られているということだ。
既存政党の黄昏
――野党第一党のはずの立憲民主党も、改選議席の22議席は横ばいで伸び悩みました。
比例の政党別得票を見ると、立憲は自民、国民民主、参政に続く4番手にとどまった。つまり有権者からは立憲民主も既成政党と見なされたということ。「事実上の政権選択選挙」と言われ、与党は過半数割れに追い込まれたのに野党連合政権の話がどこからも出てこない。これではむしろ、野田佳彦代表の責任論が出て然るべき。なのに、それもない。立憲民主は政権をねらう政党ではないということなのか。
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