
――6月22日投票の都議選では、自民党の獲得議席が21議席(告示前30議席)にとどまり、歴史的敗北となりました。
自民党をはじめ、既成政党への有権者の強い不信感を感じた。マスコミの出口調査を見ると、自民党支持層の5割ほどしか自民党候補に投票していない。自民党が支持層を固め切れていないときの選挙は、必ず負けている。これはセオリーと言っていい。昨年秋の衆院選で示された政治資金の問題をはじめとする自民党への不満が依然として根強いということだろう。
公明党、そして野党である共産党までも議席数を減らした一方で、都民ファーストは31議席(告示前26議席)を獲得して第1党に返り咲き、これまで議席のなかった国民民主党(9議席獲得)や参政党(3議席獲得)が躍進した。
今回の都議選では争点らしきものは見当たらなかったのに、投票率は前回より5ポイントも上がった。これは有権者の政治に対する強い不満の表れだろう。その受け皿に既成政党はなれず、新しい政党が議席を伸ばした形だ。
国民民主は山尾問題(参議院選挙で比例代表に擁立予定だったが、過去の不倫疑惑が指摘され一転公認を見送った問題)が尾を引き、勢いを失ったかと思っていたが、9議席も獲得したのには驚いた。有権者の間では、まだ不満の受け皿と位置づけられているのだろう。
自民党は参議院選挙も厳しい
――前回の都知事選挙では次点となり、大きな注目を集めた前安芸高田市長の石丸伸二氏の地域政党「再生の道」はゼロ議席でした。
候補者を出し過ぎた。自民党と並ぶ42人を擁立したが、新宿区や杉並区など一つの選挙区に複数の候補を立てて共倒れするなど、きちんと計算ができていない。
ただ、総得票数だけ見ると、国民民主を上回り、17議席を得た立憲民主と7万票ほどしか変わらない。よき参謀がいてうまく候補者調整していれば、もう少し違う結果になっただろう。逆に言えば、立憲民主は上手に戦った。
そもそも、選挙の基本はやはりネットのような空中戦ではなく、有権者一人ひとりにお願いして歩く地上戦だ。第1党となった都民ファーストはそこをしっかりやっていた。新興政党は風頼みの一回きりの政党が多いが、都民ファーストは都議選もこれで3回目。都民に根づいた感がある。
――自民党の木原誠二選対委員長は「都議選の結果が参院選に直結するものではない」と発言していますが……。
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