退陣不可避の石破首相。両院で与党過半数割れの中、次期自民党総裁選では野党との連携が不可欠となる。

7月20日に投開票が行われた参議院選挙では、政権与党の自民党・公明党が3年前の前回に対し大幅に得票を減らし、参議院でも政権側が過半数の議席を確保できない状況となった。直前予想よりも自民党がいくらか持ち直し、与野党伯仲まで持っていったとはいうものの、参議院でも野党への多数派工作がなければ法案が通らないという状況は、やはり深刻である。
石破茂首相の退陣は避けられないというのが大方の見方だ。石破首相は選挙直後に続投の意向を表明し、その後も辞任を否定している。しかし、続投理由としていた日米関税交渉が同月23日に基本合意に達し、続投理由は失われた。その結果、自民党内では首相辞任を前提とした動きが表面化している。ところが石破首相はやる気満々である。意に反して現職の首相を辞めさせるのは容易ではない。首相本人の心が折れなければ、円満な交代は望めない。まずは、石破首相の去就が焦点になる。
これまでの自民党では国政選挙で議席を減らすたびに、その責任を取る、として総裁が辞任してきた。そして派手に総裁選を展開し、新たな総裁(首相)を選んで再出発すれば、自民党の印象もよくなって政権を立て直せる、というのが常套手段であった。
しかし、今回はそう簡単ではない。選挙で自民党が苦戦した理由を考えれば、事態は深刻だからだ。一般に経済情勢が悪いと国政選挙で政権側に逆風が吹く。今回も多くの人の実質賃金が下がる状況で、自公両党が振るわないのは当然である。
国民民主党や参政党が大躍進
ただ、立憲民主党も勢力横ばいで政権批判の受け皿にならず、共産党まで得票を減らしている。逆に国民民主党や参政党が大躍進しているところを見ると、比較的新しい政党・新たな選挙手法を使った政党が伸びていることがわかる。政権批判に対抗して消費税減税を主張すれば、自民党が勢力を回復できる、といった単純な構図ではない。
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