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総裁選終盤に考える「自民党が失った信頼」の中身。郵政解散から振り返る政権の勝ちパターン、負けパターン

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2005年の「郵政選挙」で小泉・自民党は圧勝した(撮影・梅谷秀司)
自民党の総裁選挙は10月4日に開票される。次の首相を選ぶともいえる選挙だが、失言を恐れるあまりか議論は低調で、経済対策も党の信頼回復についても踏み込んだ議論は聞かれない。今から20年前の2005年。今回の総裁選にも立候補している小泉進次郎氏の父・純一郎氏は、持論の郵政民営化を掲げ解散・総選挙に打って出た。選挙では”勝負師”小泉純一郎の真骨頂が発揮され、自民党は大勝した。当時自民党本部で選挙対策を担う事務方トップにいた久米晃氏が「小泉郵政選挙」の熱狂を振り返りつつ、そこから浮かび上がる今の自民党の根本問題を考察する。
2025年の政局はどう動くのか――。選挙の神様、久米晃が自民党政権の命運をその裏面史から読み解いていく

――2005年の衆議院選挙は、自民党内から大量の造反者が出て郵政民営化法案が参議院で否決されるや、小泉首相が「国民に信を問う」として衆議院の解散に踏み切りました。

小泉さんは確かに郵政民営化法案の是非というワン・イッシューで解散に踏み切ったが、これは旧田中派への意趣返しという側面があったことも見逃せない。小泉さんは祖父も父親も衆議院議員という政治家一家に生まれたが、育ての親は福田赳夫元首相だ。若い頃に福田さんの秘書をして薫陶を受けた。

「角福戦争」で知られるように、福田さんは自民党内で田中角栄さんと争い苦杯をなめた。福田さんの引退後も福田派にあたる清和会は、最大派閥の田中派に冷や飯を食わされ続けた。小泉さんの政治行動の根っこには、「この恨み晴らさでおくべきか」がある。

原動力は権力闘争

郵政といえば旧田中派の牙城であり、民営化でこれをぶっ壊そうとした。さらに首相在任中に中国や韓国から抗議されても靖国参拝を続けた。これも旧田中派が強い影響力を持っていた日本遺族会の切り崩しの目的があったと思う。郵政解散の4年前の総裁選では橋本派(旧田中派)の橋本龍太郎氏に圧勝して総裁に就いたが、郵政民営化法案の提出とその後の解散・総選挙の背景にも、旧田中派との壮絶な権力闘争があった。

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