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自民党はこの先も日本を統治し続けられるか 裏金事件と「政治的無為」にも国民から厳しい目

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衆院選での苦戦が伝わる自民党。裏金事件に加えて政治的無為にも国民の目が厳しく向けられている。

10月15日、福島県いわき市で衆院選の第一声を上げる石破茂首相。新政権への国民の審判は10月27日に示される (写真:時事)

衆議院選挙の戦いの最中にこの原稿を書かなければならない。これからどうなるかはわからないので、2012年末に自民党が政権に復帰した後の十余年の政治の展開の中に、石破茂政権と今回の衆院選を位置づける作業を試みたい。

自民党が今回苦戦している原因は、いわゆる裏金事件という、政治家の行儀作法の問題だ。旧安倍派を中心に、派閥主催のパーティー収入の一部を議員にキックバックし、多くの議員がそれを裏金にし、使途も不明だったというのが事件の本質である。選挙区の有権者に香典を配って有罪となった前議員もいたので、不記載の金を本来の政治活動に使ったという説明を疑う十分な理由はある。この事件は、単なる事務処理のミスではなく、自民党の腐敗体質の表れだと多くの人々は思っている。

自民党の苦境は政策的行き詰まりにも起因している。最近の物価高と賃金の停滞について、より多くの人々が苦しみを感じるようになった。石破首相はいわゆるアベノミクスからの転換を図りたい意思を持っているようだが、それに対して市場は円高や株安などの形で反応する。異次元金融緩和という異形の政策に慣れた経済の体質を変えることは一朝一夕にはできない。石破首相も就任前の歯切れよさを失った。

安倍政治の後始末に苦しむ

政治手法にせよ、政策的隘路にせよ、今の自民党は安倍晋三元首相がまいた種の後始末で苦しんでいる。安倍政権時代は、民主党政権崩壊という安楽な政治環境の中で、政治権力の行使について無理無体を重ねてきた。プレートにたまったひずみが解放されて地震が起きるのと同じで、今の自民党では安倍政治が作り出したひずみが巨大地震を起こしている。

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