衆院選での与党大敗は政権運営に対する国民の不満も映し出した。まずは国会運営を変えるべきだ。
10月27日の衆議院総選挙は、日本政治の転換点になった。単に第2次安倍晋三内閣以来の自民党1強時代が終わったというだけではなく、日本政治が国会運営から始まる転換を求められるに至ったからである。
今回の選挙は、「政治とカネ」の問題でたまたま与党が振るわなかったわけではない。自民党や公明党の長期低落傾向は続いており、安倍政権もアクロバティックな選挙戦略で勝ち抜いていた。前回2021年の総選挙では、野党分立に助けられて与党がそれなりの議席を確保できたので、首相をすげ替え、野党協力ができないうちに選挙をすれば勝てると与党は考えた。だが、それは勘違いであり、3つの要因で通用しなかった。
第1は、多くの有権者にとって経済状況が悪かったことである。日経平均株価が史上最高値を記録するなど企業業績はよいが、一般の実質賃金は下がっている状況が続いてきた。デフレ脱却を掲げたアベノミクスの帰結として、インフレになると生活が苦しくなることへの説明と、新たな政策の構築が求められていた。物語性のある政策、将来についての体系的な主張が必要とされている。
第2は、政権運営への不満である。賛否は別にして安倍政権の政治手法は、敵味方が明確でわかりやすかった。岸田文雄政権では、いつの間にか大きな政策が決まるという不信感が募っていた。対話を旨とするはずの石破茂新首相は、早期解散で、それを変えてみせることに失敗した。多くの有権者が納得する新たな政策決定方式の構築が課題となっている。
社会からかけ離れた政界の常識
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