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ルネサスの成長戦略が“息切れ”…連続M&Aが重荷で業績停滞、豪腕・柴田CEOが迎える正念場

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2019年にルネサス エレクトロニクスCEOに就任した柴田英利氏(写真右)は、2013年にINCJが経営再建のためにCFOとして送り込んだ人物(撮影:左・編集部、右・尾形文繁)

成長路線を邁進してきた半導体メーカー・ルネサス エレクトロニクスの“息切れ”が、鮮明になっている。

7月25日、同社は2025年1〜6月期の中間決算を発表した。売上高は前年同期比10%減の6343億円、営業利益は同58%減の613億円へ後退した。とくに純利益は1753億円の大幅な赤字に沈んだ。

最終赤字の大きな要因となったのは、協業先であるアメリカのパワー半導体大手・ウルフスピードが経営破綻したことに伴い2350億円の損失を計上したことだ。ルネサスはウルフスピードに対し、2023年に20億ドルの貸し付けを行っていた。

これだけの最終赤字を計上したとはいえ、足元の経営状態は健全だ。6月末時点の自己資本比率は52%。2000億円以上の営業キャッシュフローを稼いでおり、2350億円の損失影響はさほど重くない。

むしろ不透明感が増してきたのは、足元の業績よりも中期的な成長ストーリーだ。

「売り上げ2倍」目標は5年延期

「この先、半年や1年でルネサスのどこを評価していけばよいのか」

決算説明会では、参加したアナリストから今後の成長シナリオを問う質問が飛んだ。元ルネサス幹部も、今回の決算をこう指摘する。「これまで数々の買収を進めてきたが、本来の狙いである“売り上げ面でのシナジー”がほとんど出ていないのではないか」。

現在の柴田英利CEO体制になった2019年からのルネサスは、かつて経営危機に苦しんだ姿から一変、順調に業容を拡大させてきた。2019年度に7182億円だった売上高は、2024年度には1兆3484億円へとほぼ倍増した。

大きな原動力の1つは、相次ぐ同業の買収だ。2019年に約7000億円を投じてアメリカのアナログ半導体メーカー・IDTを買収するなど、小規模な案件も含めて複数手がけてきた。

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