半導体ルネサス、「異質の巨額買収」の裏に危機感 9000億円弱で電子回路設計ツール企業を買収

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ルネサス柴田社長
2019年に常務兼CFO(最高財務責任者)から昇格して経営トップに就いた柴田英利社長がルネサスを大きく変える一手に出た(撮影:尾形文繁)

大手半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスが、同社史上最大となる巨額買収に踏み切る。買収するのは、アメリカに本社を置き、オーストラリア証券取引所に上場するアルティウム。約8879億円を投じ、今年中に全株を取得する予定だ。

「今回の買収は異質。将来への重要な一歩になる」。柴田英利社長は2月15日の会見でそう意気込んだ。

この数年のルネサスは、海外半導体メーカーの買収を積極的に仕掛け、7000億円前後の買収も2件行った。その同社が「異質」と表現するには理由がある。目的が「伝統的な半導体メーカー」からの脱皮にあるからだ。

巨額を投じる企業は年商400億円規模

アルティウムは、電機製品の電子回路を設計する際に使われるPCB(プリント基板)設計ツールを手がける。半導体など電子部品の組み合わせをアルティウムのソフトウェア上で仮想的にシミュレーションすることで、物理的に電子部品を組み立てることなくその性能や安全性を検証できる。

サービスは月額数万円から提供。ユーザー数は3万社を超え、日立製作所、アメリカのテスラやロッキード・マーチンなどさまざまな産業の顧客が使用する。年間売上高は足元で400億円前後だが、直近5年で2倍に拡大した成長企業だ。

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