
ソフトバンクグループは3月20日、アメリカの新興CPU(中央演算処理装置)メーカー、アンペア・コンピューティング・ホールディングスの買収を発表した。買収額は65億ドル(約9500億円)。3兆円を超える金額を投じた、イギリスのアーム・ホールディングス以来の大型買収だ。
実はソフトバンクグループは2024年にも、イギリスのグラフコアというAI(人工知能)向け半導体メーカーを買収している。3社とも「AI半導体」というキーワードでくくられる企業であるものの、実際にはそれぞれ役割が異なる。矢継ぎ早にこれらの半導体関連メーカーの買収を進める狙いはどこにあるのか。
サーバー向けでも存在感を増すアーム
アンペアは、インテルの元幹部であるルネ・ジェームズ氏が2017年に設立した。同氏は2015年からオラクルの取締役を務めている。オラクルは2024年5月時点でアンペア株の29%を握る、大株主だ。
アンペアが手がけるのは、サーバー向けの高性能CPU。オラクルのサーバー向けに提供してきた実績もある。特徴は、インテルやAMDが強みを持つ「x86」と呼ばれるCPU設計ではなく、アームの設計図を活用して製品を作り上げている点だ。
かつて、サーバー用のCPUはそのほとんどがインテルやAMD製だった。だが足元では、その状況が変わり始めている。アームの設計図を基にしたCPUが搭載されるサーバーが増えているのだ。
アームの強みは省電力性で、スマホ向けではシェアのほぼ100%を握る。膨大な電力を必要とするAI向けのデータセンター需要が高まる中、その特徴を、サーバーにも導入しようという動きが広まっている。
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