
2月に東京都内で開かれたソフトバンクグループの決算説明会。1月にAIインフラへの5000億ドル(約75兆円)に及ぶ投資計画「スターゲート・プロジェクト」をぶち上げ、決算発表前週にはOpenAIとの合弁会社設立を発表するなど話題に事欠かず、メディアや投資家の注目は一段と高まっていた。
そんな中、同社の発信において、ひっそりと変化した点がある。「ASI(人工超知能)」の実現に向けた投資テーマだ。孫正義会長をして、その実現こそ自身の「生まれた理由」とまで言わしめるASIは、今のソフトバンクグループにとって最重要トピックと言っていい。
突如加わった4つ目のテーマ
ASI実現のために取り組むテーマとして、それまでは決算説明資料などにおいて、「チップ(半導体)」と「データセンター」「ロボット」の3つが挙げられてきた。実際、傘下に抱えるイギリスの半導体設計会社、アーム・ホールディングス関連の買収や国内外でのデータセンター計画など、ソフトバンクグループはこの指針に沿った手を打っている。
2月の説明会では、これら3つのテーマに、突如として「電力」が加わった。さらに後藤芳光CFO(最高財務責任者)は「ロボットはまだこの先の話で、まずやるべきはチップ⾯の強化とデータセンターへの電⼒の確保だ」と言及。優先順位では、電力がロボットを追い越していることも示唆した。
生成AIの開発や運用には、高い計算能力を供給するデータセンターの構築が欠かせない。ただ、データセンターは大量の電力を24時間消費する。そのうえ、IEA(国際エネルギー機関)によれば、ChatGPTとのやりとりはグーグル検索に対して、1回あたり10倍程度の電力を消費するという。こうした背景から、世界全体におけるデータセンターによる電力消費量は、急上昇が見込まれている。
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