
「この名前を書き留めてほしい。将来、これについてたくさん耳にするだろう」
1月、アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ソフトバンクグループの孫正義会長やOpenAIのサム・アルトマンCEOなどを伴い、そう述べた。「これ」とは、両社が中心となって進める大規模AIインフラ計画「スターゲート・プロジェクト」のことである。
今後4年間でアメリカ国内のデータセンターをはじめとするAIインフラに、5000億ドル(約75兆円)を投じるスターゲート。実際、その規模感や豪華なプレーヤーの布陣から、テック業界の枠を越えて大きな話題を呼んだ。
カギとなるプロジェクト・ファイナンス
同時に、論点となったのがカネの出どころだ。
スターゲートの新会社のトップには孫会長が就任し、ソフトバンクグループが財務管理を担う。しかし、現預金や流動資産に含まれる短期投資などを合わせた同社の手元流動性は、2024年12月末時点で5兆円。保有株式価値から純負債を差し引いたNAV(ネット・アセット・バリュー)も29兆3000億円と、スターゲートの投資総額には遠く及ばない。
計画の発表後、アメリカの実業家であるイーロン・マスク氏からSNS上で、「彼らは実際はお金を持っていない」と指摘される一幕もあった。
この巨大計画がソフトバンクグループの財務安全性に、いったいどれだけの悪影響を及ぼすのか――。そんな不安が錯綜する中で迎えた2月の決算説明会。後藤芳光CFO(最高財務責任者)から示されたのが、カギを握る資金調達の手法「プロジェクト・ファイナンス」だった。
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