
ここ数年、テック業界で最重要人物の1人に浮上した、OpenAIのサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)。2025年に入り、同氏とソフトバンクグループの孫正義会長が並ぶ姿がたびたびメディアで映し出された。
まずは1月、今後4年間でアメリカ国内のデータセンターをはじめとするAIインフラに5000億ドル(約75兆円)を投資する「スターゲート・プロジェクト」の発表会見だ。孫会長は就任2日目のドナルド・トランプ大統領とオラクルのラリー・エリソン会長、そしてアルトマンCEOと登壇した。
間髪入れず、2月初旬にはソフトバンクグループとOpenAIの国内合弁会社「SB OpenAI Japan」を設立すると発表。東京都内で開催した法人向けイベントでは、孫会長とアルトマンCEOがAIについて対談し、日本の時価総額の半分を超える500社のトップたちを前に蜜月ぶりを見せつけた。
そして4月1日。ソフトバンクグループは満を持して、OpenAIに対し、外部の投資家と最大で400億ドル(約5兆9800億円)を追加出資すると発表した。ソフトバンクグループの実質的な追加出資額は最大で300億ドルを見込む。
2017年に投資を約束するも……
急速に関係性を深めたように映る両者だが、孫会長からすると、ここまでの道のりは平坦ではなかった。
孫会長とアルトマンCEOが知り合ったのは2017年のこと。当時、アメリカの名門アクセラレーター「Y Combinator」のトップを務めていたアルトマンCEOと都内で会い、「AGIを目標としている」と聞いた孫会長は、「君のことを信じるよ」「投資するよ」と返したという。
5年後の2022年11月、OpenAIは大規模言語モデル(LLM)「GPT3.5」をベースにした「ChatGPT」を披露し、大旋風を巻き起こした。ここで存在感を発揮したのが、以前からOpenAIに出資していたマイクロソフトだ。ChatGPT公開から約2カ月後には、今後数年間で数十億ドル規模を追加出資すると表明。2社の一蓮托生ぶりは、世界中の共通認識となった。
「当時からサムに投資をするべきだった」――。こうした流れを横目に、苦い思いをかみしめていたのが孫会長だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら