舞の海が陥った“節税”スキームは、資金繰りに窮した男が苦し紛れに考案した新たな資金調達法だった

第1回 舞の海を土俵外に突き落とした「知恵者」の正体
第2回 舞の海ら300人の企業経営者を信じ込ませた殺し文句
第3回 舞の海氏らに「確定利回り」を保証した男の陥穽
第4回 舞の海が陥った危うい"節税"スキーム誕生の裏事情(本記事)
第5回 8月中旬
最終回 8月下旬
投資詐欺の一種であるポンジスキームと節税(実態は脱税)を一体化させ、全国の企業約300社から約150億円を引き出したとされる、東京都渋谷区のコンサルティング会社「BUONO」(破産手続き中、以下ボーノ)代表取締役の首藤弘被告(45)。同被告は2019年以降、同社が営んでいるという電気料金削減サービスに絡み、自身が実質経営する営業代行会社「NEXT INNOVATION INC」(現・RiseAll、破産手続き中、以下ネクスト社)に事実上貸し付けられた資金を業務委託費に仮装させる手口で、納税額を抑えたいと考えている企業経営者らに法人税などの納付を免れさせていた。
首藤被告は著名な税理士や公認会計士などを通じてこのスキームを売り込んだ。資金を提供した企業の中には、現役時代に「技のデパート」と呼ばれ、現在はNHKの大相撲解説者として活躍する元小結の舞の海秀平氏(57)が共同代表を務める「舞の海カンパニー」の名もあった。
このスキームにおける資金提供者(スキーム利用者)とボーノ、ネクスト社間の資金のやり取りについて、東京国税局査察部と東京地検特捜部は「スキーム利用者がネクスト社に提供した資金は、ボーノが元本保証した上で利息分とともに均等分割払いで毎月返還されており、その構図は事実上の貸し付けに当たる」と断定。首藤被告とスキーム利用者には所得を仮装隠蔽する意図があったとして東京、神奈川、愛知など全国の建設・不動産会社計8社とその経営者を立件した。
説明は“立て板に水”だった
首藤被告はなぜ、このような危ういスキームを考案するに至ったのか。そもそも同被告とはどのような人物なのか。
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