エヌビディアがCESで明かした2026年の新基軸、「フィジカルAI」のプラットフォームを完全制覇する三位一体戦略とは?
1月6日から9日の日程でラスベガスで開催される「CES 2026」。広い会場内を歩いていると、古くからテクノロジーを取材してきた筆者としては、ある種のめまいを覚える。
ヒューマノイドが器用に食器を洗い、洗濯物を畳む一方、工場で部品を仕分けするロボットの映像が流れ、自律走行トラクターなど農業用無人車両が巨大ブースに鎮座する。ソニー・ホンダモビリティの「AFEELA(アフィーラ)」は「走るエンターテインメント空間」を標榜し、車内でプレイステーションのゲームをプレイするデモを披露している。量子コンピューティングによる未来が語られる隣では、AIが普遍的に存在する社会について議論するセッションが繰り広げられている。
CESは、かつては「Consumer Electronics Show」の略称であり、消費者向け電子機器の見本市という意味だった。しかし、実態とかけ離れていく中で、2018年からは「CES」へと変更された。展示会の主役が大胆に変化してきたことが背景にある。自動車関連だけに絞っても、90年代から出展されていたカーオーディオだけでなく、車載インフォテインメント、EV、自動運転へと、切り替わっていった。
しかし今年、CESはさらに大きな転換点を迎えている。主催団体であるCTAのゲイリー・シャピロ会長は「Pivot or Die」という表現でその重要性を強調する。シャピロ会長は「AIと量子コンピュータ技術を発端とした変化へピボット(方向転換)できるか?」「できないなら死を迎える」と話し、「インテリジェント・トランスフォーメーション(IX)」という概念を掲げた。
AIを活用してどのようにしてIXが進んでいくのか。「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」に代わって、今年のCESにおける最も大きなテーマとなった「物理的なAI(=フィジカルAI)」は、まさにIXのど真ん中といえるものだ。
クラウドで動く"ビット"の世界が、物理(フィジカル)で構成される"アトム"の世界と融合し始めたことで、あらゆる産業界が即時の変化を求められている。この新しい時代では、事業基盤はどのようになっていくのか。その"産業構造の設計図"を描き、プラットフォームを築こうとしている主役が、エヌビディアである。
ジェンスン・フアンの野心
「チャットGPTモーメント(チャットGPTが引き起こした社会インパクト)がフィジカルAIにもやってくる。もうすぐだ」
エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、1月5日行われたCES 2026の基調講演でそう話した。
ちょうど1年前のCESで「ロボット工学のビッグバンが始まる」と予告した彼はこの日、その言葉を裏付ける具体的な成果を携えてステージに立っていた。
Alpamayo(アルパマヨ)——。これは、世界初の「考え、推論する」自動運転AIのコードネームだ。




















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