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ネットバブル崩壊の歴史が示唆する「AIバブル」懸念。稼げるビジネスモデルが見えない怖さ、そして株価急落よりも真に警戒すべきこと

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瞬く間にユーザー数を億人単位まで拡大させた生成AI。しかし、利益を出すビジネスモデルの確立はまだ暗中模索だ(写真:Bloomberg)

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1~2年前から株価の高騰を受け、「現在のAI(人工知能)への熱狂はバブルではないのか」という懸念がくすぶっている。しかし、そうした警戒をあざ笑うかのように、2025年に株価は史上最高値を更新し続け、2026年が明けた足元でも多少の調整はあれ、相場は堅調だ。

AIはバブルか――。この問いを解くには、株価や設備投資といった「マネーの動き」と、AIの「社会への実装」という二面に分けて考える必要がある。

社会実装について「バブル(実体がない)」と考える人は少数派だろう。2022年11月にオープンAIがChatGPTを公開して以降、生成AIの進化と普及のスピードはすさまじい。

アクティブユーザー数はChatGPTが週間約12億人、グーグルのGeminiも月間約4億人に達し、いまやSNS並みのインフラとなった。

AIを組み込んだハードウェアやクラウドサービスも日進月歩で、連日のように新製品・サービスが登場している。かつてのインターネットやスマホと同様、社会の隅々まで、奥深く組み込まれていくのは間違いない。

バブルの懸念があるとすれば、それは株式市場の熱狂だ。

市場は最初、ネットとAIの「土台」を評価する

ここでつねに引き合いに出されるのが、2000年に崩壊したネットバブル(ドットコムバブル)だ。まずはネットバブルの絶頂期(2000年3月末)と、足元(2026年1月16日現在)のアメリカ株式時価総額トップ10を比較してみよう。

両者を比べると、構造的な類似点と相違点が浮かび上がる。

ネットバブル時の上位10社中、マイクロソフト、シスコシステムズ、インテルなど6社がIT関連企業だった。一方、現在はバークシャー・ハサウェイとウォルマートを除く8社がAI関連企業で占められている。アップル株を大量保有するバークシャー・ハサウェイも含めれば、実質的に市場はAI一色と言っていい。

市場が評価している企業の「立ち位置」も酷似している。

ネットバブル時に時価総額の上位を占めたのは、インフラ系の企業だった。「ネットが爆発的に普及するなら、その土台を作る企業は確実に儲かるだろう」——この市場のコンセンサスにより、デバイス(PC)のOS(基本ソフト)を握るマイクロソフト、半導体のインテル、通信機器のシスコシステムズやルーセント・テクノロジーズ、そしてシステム構築のIBMやオラクルが株式市場に君臨した。

現在の上位10社も同様に、AI時代の「土台」を支える企業ばかりだ。

トップのエヌビディアはAIの頭脳(GPU)を独占し、アップルはスマートフォンというデバイスを、テスラはEV(電気自動車)と人型ロボットというデバイスを握る。さらにグーグル、メタ、マイクロソフト、アマゾンは、AIのモデル開発やクラウド基盤を提供するプラットフォーマーだ。

(なお、ネットバブル時にはNTTドコモが世界トップ5に入っていたが、現在のAI相場に日本企業の姿はない。産業の新陳代謝における日本の敗退を象徴しているようで痛烈だ)

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