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【インタビュー】背水ニコンの露光装置が"ASML互換"で勝負する必然――「世界中の顧客から励ましの声を受けている」、ASML独走に切り込む成算

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ニコンはArF液浸をはじめとする旧来型の露光装置の拡充を進めている(写真:編集部撮影)

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半導体製造において回路を焼き付ける露光装置は、その精密さから「地球上で最も複雑な装置」と形容される。半導体の性能進化の要となる、微細加工を担う付加価値の高い装置である。
現在、この露光装置市場における王者・オランダのASMLは、9割超のシェアを掌握する。かつて1990年代に露光装置の王者として君臨したニコンは、正念場を迎えている。長年にわたって蜜月関係にあった主要顧客のインテルが設備投資を抑制しており、事業環境には逆風が吹く。
ニコンは業績悪化を受けて、アメリカの保守サービス拠点における人員削減など、さらなる構造改革に動いた。一方で新装置の開発や顧客開拓も並行して進め、次の成長戦略を探っている。ニコン精機事業本部半導体装置事業部長の森田眞弘執行役員に、現状の認識と打ち手を聞いた。
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ASML機と同じマスクを使える

――ASMLは最先端のEUV(極端紫外線)以外の露光装置でも高いシェアを握っています。ニコンは新型のArF液浸露光装置で「ASML機との互換性」を打ち出しました。

顧客の現場では、ASMLの装置用に作ったフォトマスク(半導体ウェハーに回路を転写するための原版)が大量にある。ところが、そのマスクをニコンの装置に持ってくると、レンズの設計思想の違いから、転写される回路パターンが「反転」してしまう。

顧客はマスクを共用できず、ニコン導入のために専用マスクを作らなければならない。これが最大の参入障壁になっていた。

だから、われわれは装置設計を変えてでも「合わせましょう」と決断した。ASML機と同じマスクを使えるようにし、さらにASML機が置いてあったスペースにそのまま入るサイズにする。

――競合と同じ土俵に乗ることで、顧客があえてニコンを選ぶ理由は何でしょうか。

互換性がないというマイナスを解消すれば、その先にある生産性(スループット)と価格で勝負できる。顧客からは長年、「ASMLの一社依存はリスクだ」という切実な声を聞かされてきた。

ASMLへの依存度を下げたい、あるいはコストを抑えたいと考えている顧客がいる。(新型装置を)共同開発しているパートナーを含め、多くの顧客が「マイナス(互換性のなさ)さえ消してくれれば、価格と生産性でニコンを選びたい」と言ってくれているのは確かだ。「がんばってくれないか、待っているよ」という声を世界中から受けている。

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