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半導体工場の設備投資額において3分の1近くを占めるとされる最重要装置、それがウェハーに回路を焼き付ける露光装置だ。
オランダのASMLは最先端領域で圧倒的な存在感を示し、露光装置市場で約9割のシェアを握る。2024年の売上高は過去最高の約283億ユーロ(約5.2兆円)に達し、時価総額は80兆円規模を誇る。
とくに次世代の微細化に不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置は、ASMLの独壇場となっている。1台数百億円もするEUV露光装置は、髪の毛の太さの10万分の1(1ナノメートル)単位という超微細な回路を焼き付ける。開発には20年近くの時間と兆円規模の資金が投じられており、まさに「参入障壁の塊」だ。
かつて露光装置で世界を席巻した日本勢――ニコンとキヤノンは、残る1割のシェアを分け合いながら活路を探っている。EV(電気自動車)向けのパワー半導体や、AIチップの性能向上を左右する後工程(パッケージング)といった領域では、旧来装置への需要が見込まれる。日本勢が入り込む余地は、まだ残されている。
キヤノンは新工場が稼働
「21年から半導体露光装置の販売台数を倍増させることができた」
1月15日、キヤノンの御手洗冨士夫・会長兼社長CEOは経営戦略説明会で自信をのぞかせた。
キヤノンは半導体露光装置を柱とするインダストリアル事業の拡大を急いでいる。30年に事業売上高を25年比で約1.6倍の6000億円に引き上げる意欲的な目標を掲げる。
25年には約500億円を投じた栃木県宇都宮市の新工場が稼働したばかり。「かつては典型的なプロダクトアウト(製品主導)の発想だった」。キヤノンの武石洋明・専務取締役は、そう振り返る。早い段階で最先端の微細化レースから退き、顧客の具体的なニーズに基づいて市場を見極める戦略へ舵を切ってきた。



















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