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【インタビュー】キヤノンが"旧型"露光装置の生産能力を1.5倍へ増強、先端パッケージの後工程で圧倒的シェア「タフな市場に食らいつく」

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2025年に稼働したキヤノンの宇都宮新工場では露光装置などを生産する(撮影:尾形文繁)

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半導体製造において回路を焼き付ける露光装置は、その精密さから「地球上で最も複雑な装置」と形容される。半導体の性能進化の要となる、微細加工を担う付加価値の高い装置である。
現在、この露光装置市場における王者・オランダのASMLは、9割超のシェアを掌握する。しかし台数ベースのシェアに目を転じればキヤノンが3割を占めるなど、異なる景色が見えてくる。
半導体製造の現場では、数百億円するEUV(極端紫外線)を最先端としながらも、旧来型のKrFやi線などの光源を用いた露光装置が、製造工程や製品に応じて使い分けられている。
とくにAI(人工知能)半導体ブームを追い風に、キヤノンが手がける「旧来型」とされてきた露光装置の引き合いが急増している。後工程向けの露光分野では台湾のTSMCへの出荷実績があり、圧倒的なシェアを誇る。
キヤノンは2025年に栃木県宇都宮市に新工場を建設し、半導体露光装置の生産能力を24年比で1.5倍に増強。インダストリアルグループ管掌の武石洋明・専務取締役に狙いを聞いた。
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微細化の限界が来た

――キヤノンとニコンの露光装置は1990年代半ばまで高いシェアを握ってきたものの、微細化技術で先行したオランダのASMLに市場を席巻されてしまいました。

かつてのキヤノンは、典型的な「プロダクトアウト(作り手主導)」だった。半導体業界にはITRS(国際半導体技術ロードマップ)という微細化の指針があり、それに従ってひたすら高性能な装置を作ればいいと信じていた。顧客の声を聞いているようで、実は「ロードマップに従うこと」が目的化していた。

しかしわれわれは、そのスタンスを根本的に変えてきた。

――何が転機になったのですか。

技術競争を経て「マーケットイン」、社内用語で言えば「デザイン・イン」へと大きく舵を切った。顧客が本当に困っていることは何か。単にスペックを上げるのではなく、顧客の悩みを解決するソリューションを装置に組み込む。このデザイン・インへの転換こそが、現在のKrFやi線といった先端パッケージ向けの後工程露光装置のシェア獲得につながっている。

――微細化の限界が叫ばれる中、露光装置に求められる役割も変わるのでしょうか?

NANDフラッシュメモリがよい例だが、微細化の限界が来たため、縦に積層する方向へ進化した。そうなると最先端のEUV露光装置を使う層だけでなく、それ以外の層、例えばKrFやi線を使う工程が減るどころか増える現象が起きている。

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