元小結「舞の海」が野村証券らを訴えた事件で浮かんできた令和の知恵者の正体。ベテラン国税OBを驚かせた「節税」スキーム

「ポンジスキーム」という言葉をご存じだろうか。「元本保証で運用し、その利益を配当金として定期的に還元する」などと約束して資金を引き出す一方、実際には運用など行わず、新たな提供者から引き出した資金を、それまでの提供者に配当金などと偽って返還するという形態の投資詐欺だ。
あたかも運用で得た利益を配当しているかのように装って資金を騙し取るのが狙いで、最終的にはスキームが破綻することを前提としている。20世紀前半、アメリカの詐欺師チャールズ・ポンジが編み出したことからこの名前が付けられ、「自転車操業詐欺」の別名でも知られている。
このポンジスキームに節税(実態は脱税)を組み合わせて、多額の納税の可能性に頭を痛める企業経営者から大金をせしめた“知恵者”が令和の日本に現れた。
東京都渋谷区のコンサルティング会社「BUONO」(破産手続き中、以下ボーノ)代表取締役の首藤弘被告(44)。同被告が自ら考案したというスキームの形は以下のようなものだった。
著名な税理士、会計士を通じて売り込み
納税額を低く抑えたい企業に対し、ボーノは同社が営んでいるという電気料金削減サービスの顧客を獲得する販売取次店の業務を委託。これを受けて企業側は、ボーノグループの営業代行会社「NEXT INNOVATION INC」(現・RiseAll、破産手続き中、以下ネクスト社)に顧客獲得業務を再委託して業務委託費を支払い、これを経費(損金)として一括計上する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら