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野村証券や南青山FASが舞の海氏に紹介した人物は、“節税”をうたいながら約300社の企業経営者から計約150億円ものカネを集めていた。この人物が考案した“節税”スキームを徹底分析したジャーナリスト、田中周紀氏による連載企画「“節税”のワナ 舞の海を突き落としたもの」の最終回は、舞の海氏に首藤被告を紹介したコンサルティング会社代表が裁判で語った、驚きの証言を紹介する。
第1回 舞の海を土俵外に突き落とした「知恵者」の正体
第2回 舞の海ら300人の企業経営者を信じ込ませた殺し文句
第3回 舞の海らに「損失補填」を保証した男の陥穽
第4回 舞の海が陥った“節税”スキームは資金繰りに窮した男の苦肉の策だった
第5回 舞の海が野村証券で説明された“節税”スキームには実体がなかった
最終回 舞の海を陥れた男の話丸呑みした「プロ」の責任感(本記事)
投資詐欺の一種であるポンジスキームと節税(実態は脱税)を一体化させ、全国の企業約300社から約150億円を引き出したとされる、東京都渋谷区のコンサルティング会社「BUONO」(破産手続き中、以下ボーノ)代表取締役の首藤弘被告(45)。同被告は2019年以降、同社が営んでいるという電気料金削減サービス事業に絡み、自身が実質経営する営業代行会社「NEXT INNOVATION INC」(現・RiseAll、破産手続き中、以下ネクスト社)に事実上貸し付けられた資金を業務委託費に仮装させる手口で、納税額を抑えたいと考えている不動産業者らに法人税などの納付を免れさせていた。
首藤被告は著名な税理士や公認会計士などにこの“節税”スキームを持ち込み、販売促進に協力させていた。資金を提供した企業の中には、現役時代に「技のデパート」と呼ばれ、現在はNHKの大相撲解説者として活躍する元小結の舞の海秀平氏(57)が共同代表を務める「舞の海カンパニー」の名もあった。
最終回の今回は、舞の海氏に首藤被告を紹介したコンサルティング会社「南青山FAS」(現・南青山アドバイザリーグループ、東京都港区)の代表取締役CEOが、同被告と共謀して脱税した罪に問われた不動産会社S社の公判(2024年12月19日、東京地裁)で証言した内容などを記して、この連載を終えることにする。
節税のスペシャリスト
南青山アドバイザリーグループの代表取締役CEOで、南青山税理士法人の代表も務める公認会計士兼税理士の仙石実氏(51)は、明治大商学部卒業後の2002年に入所した監査法人トーマツで約9年間、東証プライム上場企業の監査、IPO(新規株式上場)支援、IFRS(国際会計基準)任意適用会社の監査などに従事。その後同税理士法人を設立して代表に就任し、現在は同グループのトップとして大手金融機関など数多くの企業に会計・税務専門サービスを提供しているという。斯界では「節税のスペシャリスト」として名高い存在だ。
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