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不安を募らせる「2027年台湾有事説」が日本社会で拡散した起源と揺らぎ、危機言説の正体を読み解く

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2027年台湾有事説が日本で広がっているが、台湾では中国の圧力を受けながらも日常が続いている
2027年台湾有事説が日本で広がっているが、台湾では中国の圧力を受けながらも日常が続いている(写真:Bloomberg)

中国が台湾を支配下に置くために武力侵攻する――。いわゆる「台湾有事」について、日本での関心は引き続き高く、不安の声も聞こえる。アメリカのトランプ大統領は2026年内に訪中して中国の習近平国家主席と首脳会談を行う予定で、そこでも台湾問題が議題にあがるとみられる。

日本では27年に台湾有事が起こるとする「2027年台湾有事説」が広く流れており、それが来年に迫っていることも不安に拍車をかけている。昨年11月に高市早苗首相が、台湾有事が「存立危機自体になり得るケース」と国会で答弁し、中国から激しい反発を受けて日中関係が悪化したことも、「台湾問題」についての議論を活発化させた

中国の台湾侵攻は既定方針なのか?

ただ、そもそも「2027年台湾有事説」という時限付きシナリオは、本当に起こる可能性が高いシナリオなのだろうか。筆者はこの数年、メディアの人や企業関係者、市民から学生にいたるまでこの27年説について問われることが増えた。それらの問いに対し、「中国は27年に台湾を侵攻するとは言っていませんよ」と答えると、「そうなんですか?」と驚かれることが少なくない。

日本社会では、あたかも「中国が台湾を武力で統一する」というのが、中国共産党指導部の既定方針であるかのような認識が定着しているようだ。

一方、中国は「台湾侵攻の時間表は存在しない」と公言し、台湾問題の平和的解決という方針に変化はないと強調している。武力行使は、それが実現できない場合の選択肢の1つと位置づけられているにすぎない。

確かに武力行使の可能性を排除していない中国の主張を、そのまま鵜呑みにすることはできない。しかし、台湾への武力侵攻は、中国の統一戦略全体のなかの一部だということも認識しなければならない。

日本で「台湾有事」が話題になり始めたのは、21年のことである。3月に当時の米海軍インド太平洋軍司令官デービッドソンが「今後6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」との見積もりを示し、12月には安倍元首相が、「台湾有事は日本有事でもあり、日米同盟の有事でもある」と発言した。

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