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イラン情勢の裏で転機を迎える東アジア。首脳会談に向け配慮し合う米中に対し、頭越しの「取引」を恐れる日本と台湾

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3月末から4月にかけ、アメリカのトランプ大統領は中国を訪れるとみられている(写真:NewYorkTimes)

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来週3月19日、高市早苗首相はワシントンで日米首脳会談を予定している。3月末から4月にかけてアメリカのトランプ大統領は訪中するとみられ、日本政府としてはその前に東アジアへの安全保障に関与し続けるようアメリカに働きかけ、日米同盟の健在を示したいところだ。

というのも、トランプ氏と中国の習近平国家主席が一体どのような会談を行うのか、日本政府内でも懸念が広がっているからだ。日本の頭越しにディールが行われ、東アジアの安全保障環境に大きな影響が出ないか。日中関係の改善の兆しがなおも見えない中、少しでも不安要素を取り除きたい。

アメリカへの配慮がみられる中国

一方の中国側もトランプ氏の訪中に備えている様子がうかがえる。中国の王毅共産党政治局員兼外相は、8日の記者会見で国内外の報道陣からの質問に答えた。イラン情勢についての質問に対しては「本来起こるべきではない戦争」で「今すぐ軍事行動を停止し、戦火の拡大を避けるべき」と訴えた。

ただ、今回の攻撃を始めたアメリカに対する名指しの批判は避けた。「政権転換を図ることでは民心を得られはしない」と、当初イランの体制転換を図ったアメリカを念頭にした主張は行ったが、友好国であるはずのイランに対して力強く連帯しようという姿勢はなかった。中南米関係についての質問に対してもベネズエラに言及せず、アメリカについて批判しなかった。

中国のアメリカに配慮する姿勢は、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が始まった時から顕著だった。攻撃について「懸念」を表明するにとどめ、イランの最高指導者ハメネイ師が殺害された際も、哀悼の意をすぐさま表明したロシアのプーチン大統領と異なり、習氏はメッセージを発さなかった。ハメネイ師の後継者に選ばれた次男のモジタバ・ハメネイ師にも明確な祝意や支持をまだ示していない。

中国にとって2026年に入ってからの2カ月あまりは、アメリカの意図と戦略について測りかねる事態が続いたといえる。ベネズエラとイランはともに反米のために中国に接近していた国である。見方によっては、アメリカが中国の友好国へ実力を行使することで、トランプ氏の訪中前に中国に対して軍事的優位を見せつけ、圧力をかけているともいえよう。

特にベネズエラでのマドゥロ大統領拘束とイランの最高指導者ハメネイ師の殺害について、立て続けに斬首作戦を成功させたことはアメリカの軍と諜報機関の能力の高さを示す。中国の安全保障に詳しい専門家の間では「アメリカ側との能力の差を見せつけられ中国側には衝撃が大きい」との見解もあり、結果的に対中抑止が高まったとの見方もある。

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