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「国税が何度も調査に来たが、諦めて帰っていった」という男の殺し文句を否定しなかった野村証券と南青山FAS

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逮捕・起訴された男を紹介した野村証券と南青山FASに訴訟を提起した舞の海秀平氏

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元力士でNHK大相撲解説者として活躍する舞の海秀平氏(以下、舞の海氏)が証券業界最大手の野村証券とコンサルティング会社の南青山FAS対し、計6453万円の損害賠償請求訴訟を起こしたことは「元小結『舞の海』が野村証券らに損害賠償訴訟」で報じた。事業リスクを十分に説明せず、後に逮捕・起訴される事業会社の社長を舞の海氏に紹介し、結果的に多額の損害を被らせたという主張だ。
野村証券や南青山FASが舞の海氏に紹介した人物は、“節税”をうたいながら約300社の企業経営者から計約150億円ものカネを集めていた。この人物が考案した“節税”スキームを徹底分析したジャーナリスト、田中周紀氏による連載企画「“節税”のワナ 舞の海を突き落としたもの」の第2回は、舞の海氏に6600万円もの資金投入を決断させたものの正体に迫る。
【配信予定】
7月22日 第1回 舞の海を土俵外に突き落とした「知恵者」の正体
7月29日 第2回 舞の海ら300人の企業経営者を信じ込ませた殺し文句(本記事)
8月上旬 第3回 
8月中旬 第4回
8月中旬 第5回

投資詐欺の一種であるポンジスキームと節税(実態は脱税)を一体化させ、全国の企業約300社から約150億円を引き出したとされる、東京都渋谷区のコンサルティング会社「BUONO」(破産手続き中、以下ボーノ)代表取締役の首藤弘被告(44)。

同被告は2019年以降、同社が営んでいるという電気料金削減サービスに絡み、自身が実質経営する営業代行会社「NEXT INNOVATION INC」(現・RiseAll、破産手続き中、以下ネクスト社)に提供された資金を業務委託費に仮装させることで、節税を考えている不動産業者らに法人税などの納付を免れさせていた。

2024年2月に東京地検特捜部に逮捕・起訴された首藤被告は、初公判で罪を全面的に認めた。

会計コンサル会社からの紹介

首藤被告の“節税”スキームを利用したケースの中には、現役時代に「技のデパート」と呼ばれ、現在はNHKの大相撲解説者として活躍する元小結の舞の海秀平氏(57)の名前があった。

業界最大手の野村証券の顧客だった舞の海氏は2022年3月、同証券を通じてコンサルティング会社「南青山FAS」(現・南青山アドバイザリーグループ、東京都港区、仙石実代表取締役)から首藤被告を紹介され、舞の海氏が共同代表を務める「舞の海カンパニー」(東京都墨田区)からネクスト社に業務委託費として計6600万円を支払った。

ところがそれからわずか半年余りでボーノグループは経営破綻。舞の海カンパニーは約6200万円が返還されなかっただけでなく、2022年5月期の法人税などの修正申告を迫られ、加算税や延滞税など約253万円を追徴されることになった。

舞の海氏は現在、野村証券と南青山FASを相手取り計6453万円の損害賠償を求める訴訟を提起している。同氏はどのような経緯でこの問題に巻き込まれてしまったのか。

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