「国税が何度も調査に来たが、諦めて帰っていった」という男の殺し文句を否定しなかった野村証券と南青山FAS

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8月上旬 第3回
8月中旬 第4回
8月中旬 第5回
投資詐欺の一種であるポンジスキームと節税(実態は脱税)を一体化させ、全国の企業約300社から約150億円を引き出したとされる、東京都渋谷区のコンサルティング会社「BUONO」(破産手続き中、以下ボーノ)代表取締役の首藤弘被告(44)。
同被告は2019年以降、同社が営んでいるという電気料金削減サービスに絡み、自身が実質経営する営業代行会社「NEXT INNOVATION INC」(現・RiseAll、破産手続き中、以下ネクスト社)に提供された資金を業務委託費に仮装させることで、節税を考えている不動産業者らに法人税などの納付を免れさせていた。
2024年2月に東京地検特捜部に逮捕・起訴された首藤被告は、初公判で罪を全面的に認めた。
会計コンサル会社からの紹介
首藤被告の“節税”スキームを利用したケースの中には、現役時代に「技のデパート」と呼ばれ、現在はNHKの大相撲解説者として活躍する元小結の舞の海秀平氏(57)の名前があった。
業界最大手の野村証券の顧客だった舞の海氏は2022年3月、同証券を通じてコンサルティング会社「南青山FAS」(現・南青山アドバイザリーグループ、東京都港区、仙石実代表取締役)から首藤被告を紹介され、舞の海氏が共同代表を務める「舞の海カンパニー」(東京都墨田区)からネクスト社に業務委託費として計6600万円を支払った。
ところがそれからわずか半年余りでボーノグループは経営破綻。舞の海カンパニーは約6200万円が返還されなかっただけでなく、2022年5月期の法人税などの修正申告を迫られ、加算税や延滞税など約253万円を追徴されることになった。
舞の海氏は現在、野村証券と南青山FASを相手取り計6453万円の損害賠償を求める訴訟を提起している。同氏はどのような経緯でこの問題に巻き込まれてしまったのか。
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