「一言で(言うと)原子力にとってたいへんよい1年だった」。2025年12月12日、日本原子力産業協会(原産協)の会見で増井秀企理事長は笑顔で語った。11年の東京電力福島第一原発事故以降で最もよい年だったかと問われると、「それにも『はい、そのとおり』とお答えしたい」と続けた。
実際、25年は原子力業界にとって転機となる事柄が続いた。最も大きかったのは、2月に閣議決定されたエネルギー基本計画。「可能な限り原発依存度を低減」という文言が消え、原子力を最大限に活用することや、次世代革新炉の開発・設置が盛り込まれ、「将来に対して明るい兆しを示していただいた」(増井理事長)。
さらに、新潟県の東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働に対して花角英世知事が容認の考えを示したほか、関西電力が原発新設に向けた地質調査を開始。国が「原発回帰」へ舵を切ったことによって、時計の針が一気に進み始めた様相だ。
電力需要が急拡大
背景には、AIやデータセンターの急速な普及により電力消費量が大幅に増加するという国の見方がある。脱炭素の流れもあり、国は原発を改めてベースロード(基幹)電源に据えたい考えだ。



















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