〈商社の序列〉時価総額では伊藤忠商事と三菱商事の「実質2強」、三井物産が後れを取る理由とは

8月上旬、総合商社の2025年度第1四半期決算(2025年4月~6月)が出そろった。中国の鉄鋼需要の落ち込みによる鉄鉱石や原料炭市況の悪化などで三菱商事と三井物産が大幅減益に沈む中、好調なスタートを切ったのが伊藤忠商事だ。
伊藤忠の第1四半期の純利益は2839億円(前年同期比37.4%増)。同期間としては過去最高を記録した。ファミリーマートや伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)など得意の非資源分野で利益を積み上げたほか、タイ財閥のチャロン・ポカパングループ中核企業の株式売却益約880億円が貢献した。
「順調なスタートだった。下期型のビジネスも多く、年間予算達成に懸念はない」と鉢村剛CFOは自信を見せる。
総合商社は連結純利益の額で毎年激しいトップ争いが繰り広げられている。直近では業界の盟主・三菱商事を筆頭に、三井物産、伊藤忠の3社が「総合商社3強」をなしている。2023年度は三井物産、2024年度は三菱商事が首位を取ったが、2025年度は伊藤忠がトップに立つ見込みだ。
三井物産に対する市場の評価は?
ところが、株式市場からの評価である時価総額に目を転じると、少し違う景色が見えてくる。
発行済み株式ベースでの時価総額だと総合商社トップは伊藤忠だ。8月8日時点の時価総額は12兆6616億円。日本の上場企業全体では、三菱重工業に次ぐ13位につけている。僅差で追うのが三菱商事で時価総額は12兆5739億円だ。
ただ時価総額を比較する際は、株式市場では流通しない自己株の存在も考慮したほうがいいだろう。第1四半期末時点で発行済み株式数に占める自己株の比率は三菱商事が4.6%なのに対し伊藤忠は10.9%。自己株を除いた株数で時価総額を計算すると、三菱商事が伊藤忠を抜いてトップとなる。
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