マスメディアや広告代理店が共催し、数十万人の来場者数が見込まれる大規模展覧会、いわゆる「ブロックバスター展」が今秋から相次いで開催されている。
「オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語」(国立西洋美術館)、「大ゴッホ展」(神戸市立博物館など)といった展覧会がすでに開幕し、多くの来場者を集めている。
2026年も「クロード・モネ–風景への問いかけ」(アーティゾン美術館)、「ルーヴル美術館展 ルネサンス」(国立新美術館)、「オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」(東京都美術館)などが多くの来場者を集めることが予想される。
コロナ時代に仕込んだ大規模展が復活
ブロックバスター展ラッシュの背景にはいくつかの要因がある。最も大きな要因がコロナ禍による影響だ。
2020年頃からのコロナの蔓延で展覧会の中止・延期が相次いだ。そのときの企画の「復活」が本格化している。大規模企画はその「仕込み」に3~5年の時間を必要する。コロナ時代に仕込んだ大規模企画が本格化するタイミングなのである。
日本の展覧会に名品を貸し出す側の事情も関係しているようだ。
絵画作品の大供給元がフランス。1990年に美術品販売会社「ブリュッケ」を立ち上げ、現在は自社運営の画廊「翠波画廊」代表でもある髙橋芳郎氏はフランスの国策の影響をこう指摘する。
「近年、フランスは文化の発信を積極化している。ゴッホ関係の展覧会や来年のルーヴル展が実現しているのはその影響があるのではないか。12月までSOMPO美術館で開催されているユトリロ展では滅多に貸し出しをしないフランス国立近代美術館(ポンピドゥーセンター)所蔵の10点が核になっている。文化発信という国を挙げての取り組みが背景にあると思う」。オルセー美術館も今、大規模な館内改装に取り掛かっており、海外へ作品を貸し出しやすい環境になっている。
日本のアートファンの意識も大きく変化している。




















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