━━4月から徳永俊昭社長の新体制になり、どのような変化を感じていますか。
徳永はもともとデジタルの出身なので、DX(デジタルトランスフォーメーション)支援ビジネス「ルマーダ3.0」やAI(人工知能)を活用したデジタルサービス「HMAX」など、AIやデジタルの力で価値を生み出していくという「デジタルセントリック企業」、あるいはAIの使い手としての先駆的な会社になっていこうという方向性が、より色濃くなってきている。
徳永が非常に大事にしていることの1つが、「その場で決めて、動く」というスピード感。それが今、日立全体にもどんどん浸透してきていると感じている。
例えば、アメリカのエヌビディアとの取り組みもそうだし、最近ではオープンAIとの協業も発表した。私も同席していたが、サム・アルトマン氏らオープンAIと、われわれの経営陣で協業の可能性について議論を行い、その直後にその場で協業のMOU(基本合意書)にサインをした。
1兆円買収で手にした果実
━━谷口さんはルマーダ3.0戦略推進室のトップも兼務しています。今春に打ち出されたルマーダ3.0は、従来とどう違いますか?
ルマーダは、新たな付加価値をつくっていくという戦略の下で2016年に立ち上がったIoT(モノのインターネット)プラットフォームだ。21年に買収したアメリカのグローバルロジックにより、デジタルエンジニアリングやサービスデザインの能力を持たせて「ルマーダ2.0」となった。
そして第3段階が、今年4月に打ち出されたルマーダ3.0。 AIがあらゆる分野に適用可能になってきた中で、ルマーダがこれまで培ってきた強みとして、社会インフラという“重たい領域”に深く根を張るフットプリント(現場基盤)というのがある。
また、日立には現場で得られるデータだけでなく、そのデータが持つ意味を理解できるという強みがある。専門知識や制御技術(OT)に、AIというインテリジェンスを組み合わせることで、鉄道やエネルギーなど社会インフラの運用を高度化できるようになった。
AIの進化によって社会インフラに知能を与え、その価値をさらに高めていくというのがルマーダ3.0の方向性だ。




















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