〈見逃せない変化〉日産、経営再建の最終目標に小さく「ただし書き」を加筆した波紋・・・リストラや本社売却を進めるも、赤字脱却の時期は視界不良
「日産の経営陣はどこまで再建に向けた覚悟があるのか」――。
11月6日、日産自動車が上半期(2025年4~9月期)決算を公表して以降、市場関係者からそうした懸念の声が上がっている。
深刻な経営難が続く日産だが、今年4月にイヴァン・エスピノーサ氏がCEOに就任してから、経営再建に向けた意思決定のスピードは格段に速まった。
リストラ人員拡大、横浜の本社も売却
5月に策定した再建計画「Re:Nissan」では、計5000億円のコストを削減するために世界で7工場を統廃合すると宣言。従業員のリストラ計画も前経営陣が設定した9000人から2万人へと対象を拡大した。
それから2カ月後の7月には、これまで“聖域”とされてきた国内の追浜工場や子会社・湘南工場(いずれも神奈川県)での車両生産や生産委託を終了することを決断。九州の工場へ生産や従業員の一部を移管させる痛みを伴う改革を進める。
11月6日の決算発表当日の朝には、横浜のグローバル本社ビルを970億円でファンドに売却することを公表。売却後に20年間賃借するセール&リースバックの契約を締結し、当座の再建資金に充てるスキームも取りまとめた。
「リストラの第1段階からギアをシフトし、商品や技術の前向きな未来を語るセカンドギアに変えていく」。エスピノーサCEOは社内外でそう号令をかける。
ただ、足元の業績はなお厳しい状況が続く。従前の商品ラインナップ不足による販売不振に加え、アメリカのトランプ関税の影響で上半期は276億円の営業赤字(前期は329億円の黒字)に転落した。



















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