〈見逃せない変化〉日産、経営再建の最終目標に小さく「ただし書き」を加筆した波紋・・・リストラや本社売却を進めるも、赤字脱却の時期は視界不良
さらに足元では、中国資本の半導体メーカー「ネクスペリア」の出荷停止問題や米国取引先の工場火災など新たな供給混乱リスク(250億円の利益下振れ要因)が浮上。上期から下期への期ずれ費用の発生もあり、未定としていた通期計画は2750億円の営業赤字に転落する(前期は697億円の黒字)見通しとした。
日産はいまだリストラ計画の全容を業績計画に織り込めず、最終損益の通期見通しを示せていない。24年度は6708億円の巨額赤字を計上、25年度上半期はすでに2219億円の最終赤字に陥っており、構造改革を断行する中で今通期も相応の規模の出血は避けられない。
「関税影響を除く」という追加文言
もっとも日産は構造改革の本格的なコスト削減効果が出るのは26年度としている。日産復活の最大の焦点は、Re:Nissanで掲げる「26年度に自動車事業の営業利益とフリーキャッシュフロー(FCF)の黒字化」。2年間の構造改革で肥大化した事業構造をスリムにし、来年度末までに赤字脱却の最終ゴールを達成できるかどうかがポイントとなる。
ところが11月6日の決算発表では、この目標設定そのものに疑念を生じさせる事態が生じた。決算説明資料に記された2つの黒字化目標の下に、小さく「関税影響を除く」というただし書きが新たに追加されたのだ。



















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