〈王者の異変〉株価は1年半で半値に、ニトリ「商品改革」に映る焦燥 停滞続く国内店舗、中国でも軌道修正…それだけにとどまらない最大のリスクは?
「最初は日本の暮らしを豊かにしようと60年計画を立て、52年目になった。安さや品質がアメリカに追いついても、コーディネートではまだ60点。これから世界の暮らしを豊かにしたいという思いで取り組んでいる」
家具国内最大手のニトリホールディングス(以下、ニトリ)は10月14日、今年の秋冬シーズンに発売する主な新商品を報道陣向けに展示した。ソファをはじめとする家具のほか、キッチン用品といった雑貨類、そして洗濯機などの大型家電、計70アイテムがお披露目された。
ニトリが報道陣向けにこうした新商品の発表会を開催することは極めて珍しい。出席した似鳥昭雄会長は冒頭のように語り、「これから年2〜3回は商品発表会を実施していきたい」と意気込んだ。
“円安ショック”だけではない悩み
自ら表に立ち、15万円を切るドラム式洗濯乾燥機などの目玉商品を大々的にアピールした似鳥会長。しかし2022年度まで36期連続増収増益の快進撃を続けてきた家具の王者は目下、難しい局面を迎えている。
2025年3月期の決算は売上高9289億円(前期比3.7%増)、営業利益1203億円(同5.8%減)と、増収減益だった。過去2年間の急激な円安進行による打撃を受けただけでなく、近年は目に見えて成長が鈍化している。

自社商品のほとんどを東南アジアなどで生産し、輸入するニトリにとって、円安の進行は大幅な原価上昇につながる。さらに主力である国内既存店も停滞が続き、2025年3月期の既存店売上高は前の期比100.2%と、期初予想の103.2%を下回った。
コロナ禍での巣ごもりで家具そのものの需要を先食いしたうえ、従来は集客装置として機能していた雑貨などの低価格商品も売れ行きが鈍い。無印良品やスリーコインズなどとの競争が激化する中、「ここ数年は原価対策に時間をとられて、新機軸の商品が乏しかった」(市場関係者)。今期もその影響を引きずり、第1四半期時点で既存店の客数は前年同期比5.8%減と、集客力の低下が鮮明だ。



















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