
――SKU削減の方針を打ち出しています。進捗は?
ドリンク剤などブランドの譲渡といったメリハリを効かせたことを昨年からずっとやってきた。2025年12月期の上期(1月~6月期)が終わり、これから成長していくための基礎体力が十分についてきたと感じている。
1SKUあたりの通期売上高は対前年で約1割、利益は約3割向上する見通しだ。SKUを削減することによって物流費や倉庫費用などの管理コストも削減できる。2025年上期では、前年同期比で6億円の改善効果が出た。
目先の成長だけをみると、量を追ってしまう。しかし、人口が減る現状を考えると、大量生産・大量消費では絶対に長く続かない。高価格で付加価値のある商品、つまり利幅が取りやすい商品を追い、それ以外のものとはメリハリをつける。
従来のマーケティングから脱却する
――2023年4月に発売した柔軟剤「ソフラン エアリス」の販売をわずか2年で終了しました。洗濯後の防臭など「機能性」重視の柔軟剤が多い中で、洗濯中の時間経過で香りが変化するよう設計された商品でした。期待された大型商品の早過ぎる撤退に驚きました。
量を取るマーケティングを施行したにもかかわらず、ブランドを育成することができなかった。一定数買っていただけるお客様がいたが、我々が目指している規模に育てることができなかった。
最大の教訓は、販売数量を大規模に獲得しにいく、旧来のマーケティングから脱却しなければならないということ。
ホームケア事業(洗剤・柔軟剤など)は典型的な装置産業だ。大規模な工場設備を持ち、大量に生産・販売すればするほど利益が上がるため、競合とシェアを奪い合う「量」を追求する戦い方を長年続けてきた。
しかし、今後の市場環境、特に当社の市場ポジションを踏まえると、その戦略はもはや得策ではない。これまで通りの大量生産・大量消費を前提としたビジネスモデルでは、競合のビッグプレーヤーに勝つことは困難である。
――質を追うということですね?
ライオンがホームケア事業から撤退することは絶対にないが、我々は量を追う発想と決別し、「差別化された価値」の提供で戦う。
例えば、水を極力使わない洗濯という習慣の提案を実現する「アクロンやさしさプレミアム」などを展開している。我々が目指すのは、全ての人に向けた商品ではなく、一部のお客様に「これがないと困る」と愛される商品だ。
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